珍しく静かな本丸に違和感を感じてしまう。兄たちは遠征中だし、弟たちは昼寝中。騒ぐことも出来なくて、洗濯物を取り込んで畳んでおこうと籠を持ちに行った。

「おう、厚」
「薬研!お前弟たちと寝てたんじゃ」
「結局乱が代わってくれてよ、本読んでたんだ。洗濯物片付けんのか?」
「うん、やることねえし」
「俺っちもやるわ」
「助かる」




洗濯物の量がかなりあって、薬研が手伝ってくれなかったらもっとすごい時間が掛かっただろう。

「終わった〜!」
「厚、腹空かね?」
「…ちょっと」
「冷蔵庫にぱんけーきって菓子があるって大将が言ってた。食って良いって」
「おぉ!でも、ぱんけーきって何だ?」
「わかんねえけど、取り敢えず行こうぜ。弟たちが起きる前に食おう」
「お前なぁ〜!」

台所に向かい、冷蔵庫の扉を開けるとそれらしいものがあった。ぱんけーき、とはどんなものだろう。

「これが…しろっぷ!」
「ぱんけーきってヤツにかけるのかな?」
「らしい。多分蜜だ、蜜!」

ぱんけーきはどうやら大将が作ったものらしかった。
ふわふわの生地に甘い蜜がかかったぱんけーきは不思議な感じだった。薬研と二人で話をしながら食べた。

「美味かったな」
「大将にまた作ってくれって言うかな」
「だな」


大将のところへ行って兄や弟たちのためにぱんけーきを大将と薬研と俺で一緒に作るのはまた別の話。





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