薬研は藤四郎兄弟の短刀のなかでも兄貴分で、しっかりしている。弟たちはもちろん、兄たちにも頼りにされているくらい。
薬研には俺にあるような子供っぽさがない。見た目年齢的には俺と同じくらいなのに。ずっと、そんな風に思っていた。


「薬研、起きろって。もうすぐ朝ごはんだぞ」
「…ん〜………」
「おい、薬研!起きろ〜!」
「……んー……」

そう、薬研は朝にめっぽう弱かった。オレが本丸に来る前は乱が薬研を起こしていたらしかった。そして俺は本丸に来てから、このことを知りオレが薬研を起こす係となってしまった。
薬研が朝に弱いってことをいち兄ですら知らない。乱とオレだけが知っていた。

「はー…もう服脱がすぞー?」
「………ん……」

寝間着のボタンを外していき、服を脱がせ内番服に着替えさせる。

「下は自分でやんのかー?」
「…………」
「…ダメだこりゃ」

ため息を吐きながら薬研のズボンを勢いよく下ろすと、薬研の目がカッと開いた。

「おい…厚、朝っぱらから何だ。犯すぞ」
「…お前が起きねえから着替えさせてやってんだよ。怖いことさらっと言うな」
「あ……そうか、すまんな」

何故か薬研はオレがズボンを脱がせると目が覚める。乱は薬研の着替えまではやったことはないらしい。だから、このことを知っているのはオレだけ。何か、ちょっとだけ優越感。

「厚、いつも悪いな」
「ああ、別に。オレも薬研の珍しい姿見れるからいいよ」
「……どういう意味だ?」
「さあな〜」
「あ〜!この〜…厚のくせに!」
「ちょ、やめろ!こちょこちょはやめろって!」

二人でギャーギャー騒いで朝食に遅れたのは言うまでもない。





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