乱は面倒見がいい。弟たちの世話を自分から進んでやるし、食事の支度も空いた時間に手伝っていた。
「乱ってちゃんと休んでるか?」
「ちょうど今休んでるよ」
「そうじゃなくてさ」
「厚くん、僕に甘いよね。厚くんが甘やかしてくれるから僕はいつも頑張れるんだよ」
ありがとう、と乱は笑顔でお礼を言ってくれるけれどオレが乱をいつ甘やかしていたか、分からない。
「…別に、甘やかしてやってなくないか?」
「いやいや、すっごく甘いよ」
「??」
「厚くんはさぁ、僕が疲れてるときいっつも傍に居てくれて黙って話を聞いてくれるじゃない?あれ、本当に嬉しいんだよ」
「そっか」
「…でも、今回はもうちょっとだけワガママ言っていい?」
「え……」
ちゅ、と可愛らしい音が鳴った。厚は暫く固まって、我に返ると顔を真っ赤にした。
「みっ、乱…っ」
「えへへ、充電だよ」
無邪気な子供のように笑う乱を見ていたら、言おうとしていた文句の一つや二つも腹のなかに落ちていってしまった。
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