※泣き顔を見つめたくて




*仁王視点
*セフレの話
*ニオ←ブン









「…んっ、あぁあ……っ…!」

丸井の奥を突くと背中を反って喘ぐ。

「ん、はぁ…んぁ…あっあっ、仁王……好き…!好きだ……っ」


涙の浮かんだ瞳で見つめ、俺の名前を呼ぶ。

可愛くて可愛くて仕方がない。

こんなにこの男にハマるなんて思わなかった。














丸井とセフレの関係になったには訳があった。





放課後の部活が終わり、帰ろうとしたところで丸井に呼び止められた。


「何かの?」

「……話があって」







鍵当番は丸井がやるらしく、先に他の部員は帰っていった。

部室に二人だけになる。


「……」

「……」










「に、仁王…」


沈黙を破り丸井に名前を呼ばれる。




「俺、お前のことが好きだ」




……

意外だった。

丸井が男を好きだったとは。

独り言のようにそう呟いていた。

すると丸井は大きく首を横に振って否定した。


男が好きなのではなく、俺のことが好きらしい。


正直に言ってしまえば丸井のことをそういう対象として見たことはない。

が、顔はかわいいし悪い気はしなかった。







「……で、丸井は俺にどうしてほしいんじゃ?」

「……ッ!」




付き合ってほしい

…あたりの言葉が来ることを予想する。


しかし丸井の口から出たのは

「仁王と…くっつきたい……」




曖昧な答えだった。


「例えば?」



「仁王と…手を繋いだり、キ…キスしたり、抱き合ったり……」


言っててみるみるうちに顔が赤くなっている。




その顔が可愛くて意地悪をしてみたくなった。

「それってセックスもするんかの?」



思った通り赤い顔をさらに赤くする。

甘ったれな丸井はそのまで考えていなかっただろうと思った。




勘違いをしていた、丸井のことを。



「……したい」












その場で丸井の手を握り距離を縮める。


「…にお…ッン」


顔を近づけ小さな唇に吸いついてやる。


「…ンン…っ」

ビクッとした丸井の背中に手を回して抱きしめてやる。


丸井の心臓の音が聞こえた。


こいつ本当に俺のことが好きなんだと体から伝わってくる。

きっと今も顔を真っ赤にして泣きそうな顔をしているだろう。



抱きしめた身体は予想よりもずっと華奢で柔らかかった。






丸井の股間をズボン越しに触れるとすでに微妙に反応していた。

何もしていないのに、ほんのちょっと触っただけなのに興奮している丸井が可愛くて止まらなくなる。



「やぁ…あぁ……っ」


強く擦ると小さく喘ぐ。


その声にこちらも興奮してしまい気づけば勃起していた。


「ぁ…仁王、ぁン…も立ってる…」


そう言って俺の方の股間に手を伸ばしやんわりと触る。


「……ッ…そうやって煽んの…やめんしゃい…っ」


刺激は少ないが丸井が不安そうにこちらを見上げるせいでペニスは痛いほど硬くなった。













そのままお互い止まらなくなり二人きりの部室で一回目のセックスをした。

俺は告白の返事を言わないままだった。

そして丸井はそれについて触れなかった。









それからお互いの都合があえばセックスをする関係になった。


セックスしている時の丸井は可愛かった。

必死な顔をして俺を受け入れる丸井は儚げで、俺は確実に惹かれていった。

普段から気づけば目で追うようにもなった。


部活のときだけでなく、授業中、休み時間まで丸井のすべてを知りたいと思った。

独り占めしたいと思った。


丸井は俺に惚れている。

俺が丸井に惹かれていることを本人に伝えれば晴れて両想いだ。


でも、それはできなかった。





俺は丸井が好きだ。

好きになってしまうと、相手のどこが好きなのかもわからなくなってしまう。


でも、一番好きな顔はある。

これは確実だった。




セックスの時、俺を想って泣く顔。








報われないとわかっていながらもセックスをする関係…

それが虚しいのか丸井は快感に喘ぐ裏で涙を流す。

生理的な涙ではなく、しっかりと心で泣いている。









俺への一方的な恋に泣いてほしい。

その顔をずっと見ていたい。

その泣き顔を守りたい。







丸井がこの関係に嫌だと言うまで俺は想いを伝えない。










…end



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