溶けちゃうくらい





真夏の暑い中授業を受けるのは苦痛だった。

昼休みが終わり五時間目の授業が始まろうとしてるとき、仁王の席を見た。

出席番号順に座ると一つとばしの前にあるので目に入る。

授業のために他の生徒は全員着席していた。

だけど仁王の席だけはそこに座る人間がいなくて、雑に放置された鞄だけがあった。



…あいつ、またサボりか

一学期の期末テストがもうすぐだってのに危機感ねぇのな。

俺は真面目だからちゃんと出席する、
…つもりだったが担当の教員が今日は来ていないらしく自習になった。

課題のプリントもないとかラッキーじゃん!


クラスの連中が嬉しくなってはしゃぎだす。

うるさくなったのをいいことに、俺はこっそり教室を抜け出した。



俺の足は屋上に向かった。
俺の予感が当たれば、このドアを開けたら仁王がいるはず。


仁王はよく授業をサボって一人で屋上にいる。
きっと今日もそうだろうと期待を込めてドアを開けた。


ガランとした屋上のすみで仁王はやっぱりいた。

嬉しくなって足音を立てて仁王に近づくと、そちらも俺の気配に気づいたのか顔を上げた。







仁王の隣に腰掛ける。

真昼の太陽の熱を吸った地面は熱くて、こいつよく座っていられるな…なんて思った。



仁王に会いに来たはいいが、特に話すことがない。

広い屋上で二人きりとはいえ、こんな暑い中にイチャつく気にもなれなかった。



お互い黙っていると外の音が聞こえる。


風の音、葉が揺れる音、蝉の鳴く音……



空を見ると青い空に雲一つない快晴で、太陽だけがかんかんと俺たちを強く照らしつける。



運動しているわけてないのに汗が浮く。


隣を見ると、同じように暑そうに下を向き目を細めている仁王がいた。



…こいつも汗とかかくんだな。



額から鼻筋を通って滴り落ちる汗。

首筋から鎖骨へとツーっと流れる汗を見て、仁王との情事を思い出した。


…ッ……!


バカか俺は…

こんなに暑いのに…

密着なんてとてもしたいと思える気温じゃないのに…


……仁王に触れたいだなんて…





黙って見つめていると仁王もこちらを見た。


「どうしたん」

「………仁王」


ほぼ無意識だった。

仁王に引き寄せられるように近づいて、首筋を流れる汗を舐めとった。


「……ッ…ブン太……!」




仁王の耳元で囁いてやる。

自分の口元に手を添えて、ありふえたナイショ話のようにして


「仁王……このまま六時間目もサボっちまおうぜ…」



「そんで、暑いからアイス買いに行って…そのまま仁王ん家行って……」








エッチしよう……?









こいつと繋がれるなら俺は暑さなんて気にならないから……








…end





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