※夢の中でも2

*つづき
*仁王視点









登校途中に丸井に会った。

「…っ!に、仁王……じゃあ、また…っ」



俺と目が合うなり丸井は目を泳がせる。
そして適当に挨拶を済ませ小走りに先に学校に行ってしまった。


同じクラスだし、一緒に向かおうと思ったのだが、丸井の様子がどうもおかしい。

急いでいたわけでもないだろう。

あれは完全に俺を避けている。

さっき焦って名前呟いていたし。










昼休みの様子もおかしかった。

いつもだったら一緒に飯を食べるというのに、今日は俺に声をかけられる前に弁当を持って教室を出て行った。


……俺とは食べんってことじゃな…


どうしてここまで避けられるのだろうか。

今思えば、昨日の丸井もどこか落ち着きがなかった。



避けられる理由が全くわからない。
丸井に何かした覚えもない。










実は俺は丸井のことが好きだったりする。

自覚したのはつい最近のことだった。
同じクラスになって、初めて知る部活以外で見せる丸井の顔に気がつけば惹かれていった。


2年までは部活でしか顔を合わせなかったからユニフォーム姿の丸井ばっかり見ていた。

制服を着た丸井が新鮮で、さらに授業中おとなしく机に向かう丸井が新鮮で。

部活だけでなく勉強に対しても努力家で、丸井の真剣な表情に魅せられた。


クラスでは人気者で、休み時間は常に友達が丸井の机を囲んでいた。

誰にでも愛想よく振舞うその姿は俺には絶対にマネ出来ないと思った。

最初は嫌味ったらしくすごいのー、なんて見ていた。

だが、気がつけばその愛想のよさにイラつくようになった。



そこで、俺は丸井のことが好きなんだと気づいた。











好きな人に避けられて心が穏やかでいられるわけがない。



丸井はどこに行ってしまったんだろうか。

時間を見ると、昼休みはまだ始まって5分程度しか経っていなかった。


俺は席を立ち、教室を出た。

丸井を探しに行く。



適当に見当をつけて校内を探しまわる。

とりあえず部室を覗いてみるが、誰もいなかった。

食堂も探さてみたが丸井の姿はなかった。


ご飯を食べられる場所なんて、あとは屋上くらいか。


最上階まで上がるのは気がひけたが、丸井を見つけるためだと自分に言い聞かせ、階段をのぼる。




階段を一番上までのぼりきり、ドアをガラリと開けると丸井がいた。

もう弁当は食い終わったのか、柵に身体を預けながら、ぼんやりと空を見つめていた。



「丸井…」


考えるより体が先に動いた。

丸井の姿を見つけるなり、名前を呼んで近づく。


「にお…っ、なんで…」


階段を一気にのぼりあけがせいか、息があがる。


「丸井…っ、はぁ、座りんしゃい…っ」

「…な、に…」

「いいから…」


強めな口調で促せば、丸井はおとなしくその場に座る。



「のぅ、丸井。お前さん、俺の事避けとるじゃろ」

「……っ、そんな、こと…」

「わかるぜよ。誤魔化さなくたってわかるに決まってるぜよ」


「……」


丸井は俺の言葉に気まずそうに黙ってしまう。

「丸井の様子がちょっと違うなら、俺はすぐにわかる。じゃって…俺は丸井のことが好きじゃからのぅ」


「へ……?」


喋った後にしまったと思った。

丸井に避けられているワケを聞き出そうとは思った。

しかし、告白しようだなんて思っていなかった。


さっきまで丸井を探しまわっていた。
そして、今、目の前にその本人がいる。

この状況に気持ちが溢れて止まらなかったらしい。



もう、こうなったらどうにでもなれと思った。

丸井にこのまま気持ちを伝えてしまおう。

何もかも。

今だって避けられているんだ。

この先俺と話してくれるなんてこと、なくなるのかもしれない。


だったら今この場で……。


「丸井が好きじゃき。ここ最近、ずっと丸井のことばっか考えとる。気がついたら目で追っとる」


一度言ってしまうとツラツラと言葉が出てくる。

「えっと……」


「じゃからの、丸井に避けられると悲しい。」


「仁王…」

「なんで俺のこと避けるん?」


「その…仁王の夢を見たんだ…」

「ほぉ」

「で、それが……仁王と、………キス、する夢でさ……」

「なっ…」

「そんで意識しちまって……それは一昨日の夢で…。昨日も仁王の夢見てさ……」


かわいそうになるほどまでに顔を赤く染めながら言葉を紡ぎ出す丸井を黙って見つめる。


「それが…なんつーか…、あー…っと、エロイことする…のでさ」

「……!?」

「それでもっと意識するようになった……。あっ、だからよ…避けてたのは本当だし、謝るけど……別に嫌いになったとかじゃなくて…その…」

「丸井は…」

「なに?」

「丸井は、その夢を見てどう思ったんじゃ?」

「どうって…」

「気持ち悪いとか思わんかったん?」


……

否定してほしい。

気持ち悪かったなんて言わないでほしい。

頼むから…。



「気持ち悪いっつか……なんか、その逆で……ドキドキした」


……ッ!


「本気かの?!」

「あ、あぁ…」

「俺とキスした夢に?」

丸井は黙って頷く。

「俺とエロイことする夢にもかの?」

「…だからッ!さっきからそう言ってんじゃん!お前…恥ずかしい…」


丸井は真っ赤な顔を隠すように下を向く。

エロイことって……。


「俺とエロイことして、丸井は気持ちよかったん?」

夢の中で何してた…?

って聞きたかったけれど、直接的に聞くのが躊躇われた。

だから別の聞き方を探したが、どうも変な方向の質問をしてしまった。

「やっ、俺は…そうじゃなくて…」

「気持ちよくなかったん?!」

思わず声が大きくなってしまう。

丸井の態度から察するに、気持ちよくなかったんだろう。

本当にどんな夢だったんだ。

もしかして、俺が丸井を無理矢理犯す夢だったりして。

なら、丸井に避けられることにも、まぁ納得がいく。


「その……俺は、仁王の…ちんこ舐めるだけだったから…」

……

………フェラ!?

丸井はそういうことにあまり関心も知識もないと思っていた。

丸井がエロイ夢を見たというだけでも驚きだというのに。

それが俺の夢で、しかもフェラとは…。


…そりゃ、丸井にフェラしてもらったら嬉しいぜよ…。

つい想像してしまい、勃起しそうになった。

「それで、続きはどうなったんじゃ?」


もうこの夢の話、家に帰ったらオカズにしようと思った。


「夢はでそこでおわり…!そこで起きたんだよぃ」


おわり。

その言葉に内心がっかりする。

しかし、丸井の表情が気になった。

もう語ることはないだろうに、未だに顔を真っ赤にして、瞳まで潤ませている。

……まだ何かあるんかの…。


「丸井、本当は続き、あるんじゃなか?」

「…っ、ねぇよ…!」

「じゃあなんでそんなに顔赤いん?目も泳いどるよ」

「う……。…引くなよ。続きはねぇんだけど、起きたら俺も興奮しちまって……朝オナニーした。お前のこと考えながら…っ」

「……ッッ!!」


やばい…


「勃った…」

「…はぁ?!」

「今の丸井の一言で勃った。夢と同じことして」

「なっ…」


丸井の形の良い唇を塞ぐ。

これでキスの夢は完了。


ベルトをはずし、ズボンをくつろげる。
パンツから立ち上がったペニスを取り出す。

欲に任せて動いてしまったが、きっと大丈夫。

だって、俺、夢にまで出ているから。
意識されているんだし。

嫌でもなさそうだし。


「舐めて」


丸井の顔の前に腰を突き出す。


すると丸井はは困った表情をしながらも、俺のペニスを口に含んだ。

「…っ…」

「…んっ、う……」


唾液と先走りが混ざってじゅぷじゅぷと水音が鳴る。

下手くそではあったが、必死に舌と頭を動かす丸井が愛おしい。

「……はぁっ」

頭に手を乗せるとこちらを見上げてきた。

目が合った瞬間に俺の心臓はドキッと音がなるほどに跳ね上がる。

そしてそれはペニスにも伝わったようだ。

痛いほどに硬くなっている。

「…は、…はっ…ぁ……丸井……」

「んう……」

丸井の赤い舌が俺のペニスを舐めあげる。


先端から先走りが溢れ出すとじゅるじゅると啜られる。


さらに先端に口付けられて、まるでストローからジュースを啜るように強く吸われるので、たまらなく気持ちがいい。


先端を集中的に攻められたかと思うと、再び深くペニスを飲み込む。


頭を上下に揺らして必死に奉仕する。

口に入りきらない根本の部分には手両手が添えられて、指先で撫でられる。

強く握ってほしい気もして焦れったかったが、熱い舌が裏筋を根元から舐められるせいで、射精感がこみ上げる。

そのまま煽るように裏筋を通ってカリの部分で舌をチロチロと動かす。


「丸井…そこは……はっ…っ…」


イキそうだとわかったのか先端の穴に舌を捩じ込まれる。

「…あぁ……っ」


そのままとめどなく溢れる先走りを舐めとられる。

深くまでくわえたかと思うと全体を強く吸われる。

じゅるじゅるじゅる


「…ぁ……丸井……くっ…ぁ…!」


我慢できずに口の中に出してしまう。

「んんんん……」


丸井は口の中に溜まった精液をどう始末しようか困っているのか口を膨らませて苦しそうにしていた。

飲ませるのは流石にかわいそうだったので、ズボンから適当にに出したポケットティッシュを丸井の口元に差し出してやる。

すると丸井は素早く受け取りペッペッと吐き出した。


「はぁ、はぁ…お前、サイテー」

「でも、嫌じゃないじゃろ?」


「はぁ?お前その自信どっから」

「じゃって、丸井のチンコも勃っとるよ」

「なっ……!」


丸井の股間を指さすと制服のズボンを押し上げていた。


「ここまで夢の通りじゃの」

「…うっせ…」

「のぅ、丸井」

「なんだよ」

「告白の返事、今くれんかの?」

「あぁ?」

「さっきも言ったじゃろ。俺は丸井が好きなんじゃ」


「俺は…」

「ん?」

顔を近づけて続きを促す。

「わかんねぇ…けど、お前とこういうことしても、嫌だって思わなかった。だから…俺も、す、好き…なのかも」

「丸井…かわええ…」

「………」

かわいいって言われても、嫌がらない。

むしろ口元をニヤケさせている。

「嬉しいぜよ……大好きじゃ…」

「…もう、お前さっきから本当恥ずかしい…」


「のう」

「今度はなんだよ」

「夢の続き、したいと思わん?」

「……!」


抵抗しないのをいいことに、丸井と2度目のキスをする。

舌を絡め合う、深いキスを。


昼休み終了を告げるチャイムが響くが、聞こえないフリをして丸井を求めた。










…end



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