※夢の中でも


*二人は付き合っていない












仁王とキスする夢を見た。

唇が触れ合うだけのものだったが、すごくどきどきした。

前後のことは覚えていない。

起きたら忘れていた。

夢なんてそんなもんなんだろうけれど、キスした時の感覚だけは起きても鮮明に覚えていた。



「なんつー夢だよい…」










学校に着いても、夢のことが気になって仕方なかった。



「丸井、これから部活行くじゃろ?」

「っ?!あ、あぁ」

「俺も今から向かうところだったぜよ」


急に仁王本人に話しかけられてびっくりした。

気づけばもう放課後になっていたらしい。


俺は、仁王との夢のことで頭がいっぱいだった。


今だって、仁王の隣に並ぶことができない。


仁王と歩幅を狭くしてわざとゆっくりと歩けば、距離は一歩、二歩、三歩……と開いていった。



「どうしたん、丸井」

二人っきりの廊下に仁王の落ち着いた声が響く。


「体調でも悪いんか」


夢の中でキスした唇が、言葉を紡ぎ出すのを黙って見つめた。


……そういやこいつ、口元にホクロあるんだな。

夢の中でもそうだったっけ。

覚えてないや。


口、けっこうでかいんだ。

でも唇は薄くて……。

ちょっと乾燥してて……。


「……っ!」

その時夢の感覚を思い出した。

唇越しに感じる仁王のぬくもり。

仁王の息づかい…。





自分で自分の顔が赤くなるのがわかる。

その顔を見られたくなくて下を向いてしまう。




すると、黙っていた俺を不審に思ったのか仁王が近づいてきた。



「丸井、本当に大丈夫かの?」

「……っ…」

顔を上げると、すぐ目の前に仁王の顔があった。


ちょっと顎を突きだせば、唇が触れそうだ。



恥ずかしい。

ダメだ。

そう思っても夢のことを思い出さずにはいられない。


顔が赤くなるのを通り越して、涙すら浮かんできた。


「仁王……大丈夫だから。先、部活行ってて」

「……おん」


仁王は心配そうに俺を見たあと、黙って行ってしまった。


仁王には申し訳ないが、あのまま二人で部活に向かうなんてできるわけなかった。


心臓はバクバクなってるし、

顔が赤くなるのは止められないし、

なんでかわからないけれど涙だってジワジワと浮かんでは頬を伝って流れている。


……恥ずかしすぎて涙目ってか…。







廊下に一人残った俺は、近くのトイレに向かった。


手洗い所の鏡を覗けば、思った通り真っ赤な顔をした俺がいた。


蛇口をひねって水をだせば、それを勢いよく顔にバシャバシャとかける。

顔の赤が絵の具のように水で流れてしまえばいいと思った。



しばらく冷水を顔に浴びせてたら落ち着いたのか、さっきまで赤かった顔は白くなっていた。







すこし遅くなったが、部活が始まる時間には間に合ったようだ。


…遅れたら真田がうるさいんだよなあ。



ユニフォームに着替えてラケットを持ちコートに入る。


隣のコートを見れば仁王がいた。


柳生と話しているが、俺の視線に気づいたかチラッとこちらを見る。


目が合うのも気まずくて、俺は別の方に目をやる。







なんか、やりずれぇなあ。

仁王のこと変に意識しちゃって…

全部あの夢のせいだ!










*


翌朝


昨日はいつもどおり部活を終わらせ、いつもどおり飯食って、風呂入って寝た。

仁王は柳生と帰ったから、接点は部活に行くまでだけだった。

寝るときには、もう変な夢見るなよって、ちょっと思った程度だった。

仁王とキスした夢なんて、頭の隅に追いやった気でいた。



なのに…

なのになんで…っ


仁王の自身をくわえる夢を見た。


…くわえるというより、舐めるというか…しゃぶるというか…



「あぁ、もう!どうして連日変な夢見るんだよ…っ」



布団を捲ると緩く勃起した自身が寝間着のズボンを押し上げていた。


夢精はしていなかった。

朝からカピカピパンツを洗うなんてことにならなくてよかった…。




時計を見ると朝練までまだ時間があった。

…とりあえず着替える前に一回抜いておこう。






パンツの中に手を入れる。


ゆっくりと自身に触ると緩く立ち上がったものの硬度が増した。





「……ん、はっ…はぁっ……」


時間もないし、焦らす余裕なんてものもない。


右手で強く握って上下に擦ると絶頂まですぐ近くだった。


「ハ…ん……っ…ぁ……」


先っぽからじわりじわりと液が垂れてくる。

それを手のひら全体をつかって絡めとり、自身を擦ってやる。


手の動きを激しくするとクチュクチュと卑猥な音が響く。


……あんまり音たてると、家族にバレるよな…っ



上下に擦るのをいったん止める。



パンツのなかに左手も突っ込んで自身を握る。

先走りでペチョベチョになった右手の手のひらは亀頭にあてる。

そして右手を亀頭に擦りつけるように動かすと快感が生まれる。


「……ん……っ…っ…」


声が漏れそうになるが唇をかんで必死に我慢する。



右手の動きをそのままに、左手の力を強める。


「……はっ…っ、んっ…ゃ……ッ!ッく……ぁ……」





勢いよく精液が飛び出る。

右手でそれを受け止めると、枕元にあるティッシュで拭く。


ついでに先走りで濡れた萎えたペニスも優しく拭いてやる。







仁王のをしゃぶって勃起したとか、変態かよ……














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