ひんやりと冷たい温度。それはオレがなによりも好きな温度だった。
耳のうしろ、優しく髪に差し込んで3、2、1。見つめられる瞳に吸い込まれそうなこの間隔。まるで永遠なんじゃないかと思うほどもどかしく思うときだってある。
だけどこの間合いが、この人だから。
「ナルト」
もう目と鼻の先。こんなに近くにいるのに名前を呼んで。
その冷たい温度を確かめるように頬ずりをしてみれば、目の前の先生は優しく瞳を細める。
そのまま近付く綺麗な顔。
ゆっくりと閉じた瞳になぜか釘付けになった。
(あ…先生、こんな顔するんだ)
「なんで目、閉じないの」
唇がくっつく寸前で再び開いた瞳にまた釘付けになって。その綺麗な二色が魅了して離さない。
「だって…」
(先生の顔が見てえから)
先生から聞いたくせに、答えを言い終わる前に唇が重なって。
もっと見ていたいけど、もう限界。
すぐに口内に滑り込んできた舌に翻弄されてたまらなくなって目を閉じた。
だけど閉じる前に見えた先生の顔。
それはそれは本当に愛おしそうで。
オレはまた先生に触れるたびに幸せで満たされるんだ。
end.