ふわりと何かに包まれる感覚がして、ゆっくりと目を開ける。


すると静かに涙を流しながら私を抱きしめる女性と、優しく微笑みながら私の頭を撫でる男性の姿があった。



…え?え、なに、どういうこと?え?




「生まれてきてくれてありがとう…。」



と女性が小さな声で呟き、またそっと涙を零す。



い、意味わからん…。


そしてその女性にありがとうを連呼する男性。


ちょっ…、声大きいですよ。
なにこの人達、ツッコミどころ多すぎて笑えるんですけどー。つい棒読みになっちゃーう。



ふう、と小さくため息をついてから、口を開いて「貴方たちは誰ですか?」と言おうとして固まる。



どれだけ"な"と言おうとしても"あ"にしかならない。あうあう言う私を微笑ましく見つめる二人に心の中で舌打ちをして、手をぎゅっと握る。



こん畜生…!なんて思いながら自分の手をちらっと見ると嫌に小さいことに気づいた。



いや、わかってたさ。
思い出せる最後の記憶がトラックが迫ってくる様子だから、死んだってことくらい理解できてる。
さらにあうあうしか言えないし、「生まれてきてくれてありがとう」なんて言われたら、小さい子になっちゃったことにも気づいたけど…!



え、じゃあこの人達が親?



ああもう、どうしよう。










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