「なまえだろ?!なんでSクラスに……」
たたたっと駆け寄ってきた翔ちゃんはいうまでもなく可愛かった。 っていうか名前!名前!嬉しくてテンションが可笑しくなりそう…! ぎゅっと陸ちゃんの制服の裾を掴むときょとん、とした後に上から優しく手を重ねてくれた。
「…なあ、そいつ誰?」
なんとなく…不機嫌? なんだろう、翔ちゃんにしてはちょっと低めなのかな。 珍しく可愛い顔(の眉間)に皺を寄せて私たちを見ている。 でも突然どうして? さっき駆け寄ってきた時はなんともなかったのに。
一人首を傾げていると陸ちゃんがくすくすと笑いはじめる。
「これ?」
するりと裾を掴んでいた手に重ねていた手の指を絡めると、そのまま腕を翔ちゃんの顔の高さまで持ち上げる。 思わずきょとん、としていると更に翔ちゃんはむすっとして更に眉間に皺を寄せる。
「………。」
そのまま黙りこんだ翔ちゃんに、陸ちゃんは「なんてね。」とへらっと微笑んだ。
「ただの幼なじみ、だよ。」
勘違いした?なんてくすくす笑いながら手を離す。 離れた温もりに少しだけ寂しくなり、陸ちゃんをちらりと見ればやっぱり面白そうに微笑んでいた。
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