▼another viewpoint
パートナー決め。 自分には無縁だと静かに溜息を吐く。
あくまでも俺はアイドルになる気はない。 かといってパートナーになる子を巻き込む気もさらさらない。
つまりは、
「ごめんね、俺は誰とも組む気はないんだ。」
そう本音を隠すことなく伝えれば、女の子たちは不満を隠すことなく訴えてくる。
ふう、まいったなあと心の中で呟き、適当に言い訳をしようと口を開く。 そうすれば言葉はすらすらと流れるようにでてきてくれるから、そういうのはもはや慣れなのではないかとさえ思えてしまうから不思議だ。
第一、俺、「神宮寺レン」自身の本質を見抜いてくれるやつなんていないと俺はわかっている。 「神宮寺財閥の御曹司」このレッテルは財閥が潰れでもしない限り半永久的に俺に付き纏うだろう。 そうなればそれを目当てでくる女は当然いるし、ましてや顔だけで釣れる女だってわんさかいる。 所詮女の子なんてそんなものだろう?
「ごめんね、君達と一緒にいたいけど、一人に決める気はないんだ。」
どうせ甘い言葉を囁けば頬を染め頷いてくれる、わかりきってる。 誰もこんな最低な考えになんて気づけやしないのだから。
そんなことをつらつらと考えていると、耳に滑らかな旋律が流れ込んできた。
…ピアノ?
「空の色も 風のにおいも 海の深さも 貴方の声も」
単純に綺麗だと思った。
「私は知らないだけど歌を 歌を唄うただ声をあげて」
初めてだった、人の歌をこんなに綺麗だと思ったのは。
柔らかでよく伸びる、まさに透き通ったような歌声。聞いたことのない美しい旋律に滑るように滑らかなピアノ。 …心にすっと入り込んで来る歌詞。
なぜだか動悸がいつもより速くて、だけどどこか安心している。 …おい、冗談だろ?
「なにか貴方に 届くなら 何度でも 何度だって」
この俺が、顔も知らない女の子のことをこんなに気にしているなんて、そんな馬鹿な話があるわけ…。
…ああ、でも…
「変わらないわあの時まま ハジメテノオトのまま」
どうしようもなく、君と話してみたいんだ。
(…誰か、誰か本当の俺を見つけて) (そしてそのまま受け入れてくれないか。)
__________ うちの神宮寺さんはヘタレというより精神的に少し弱っている感じになっています。 苦手な方はごめんなさい。
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