「り、陸ちゃん!わざとだったの?!」 声を荒げた私に「まあまあ、落ち着いて」と彼は苦笑いしながら顔の前で手をひらひらさせた。
「なまえ、トキヤが一番好きだって言ってたろ?なのにイベント忘れてるみたいだったからさあ、」 へらりと笑って陸ちゃんは言ってみせた。
「善意だよ、善意」 「別に頼んでないし。余計なお世話ー」 「はあ、」 「!か、奏君かあ、びっくりしたあ。」 「奏喋らないから。」 「お前がうるさいだけだ。」
奏君がそういえば陸ちゃんはえー、なんて口を尖らせた。 っていうか奏君が全く喋らない(=影が薄い)。 飛び上がってしまったのはしょうがないと思いたい。
「ねえ、なまえ、怒ってるる?」 「……」
ぷいっと彼と反対側を向くと、 「良いこと、教えてあげるから許して?」 といいはじめたので「なに?」と振り向く。
「態度変わりすぎ…。」と奏君が呟いたのは聞こえなかったふりだ。
「あそこにもフラグがあるんだけど、」
どうする?とにこやかに指された彼の指を辿ると、木に向かってぴょんぴょん跳んでいる男の子。
「い、行かないよ。」勘弁してくれとばかりに上半身だけ振り返り首を振るが、彼はにこにこ笑ったまま、「言うと思った。」と言いながら私の背中側から肩に手を置く。
そこからはいうまでもなくとん、と押される。
「いってらっしゃーい!」 手を振るあいつには後でローリング・ラリアットをいれてやる…!
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