♪プロローグ


さて。


ここに、1つのゲームソフトがあります。



パッケージの箱には音符が8つ円を描くように書かれていて、その真ん中には「音」と、達筆な字で書いてあります。

ゲームの名前は、音。

世界を巡り、魔物を倒しながら色んな体験を繰り返し、魔王を倒すという、王道のRPGです。


ただ、魔王の場所へ行く条件に、8つの「歌」を集めなければならない、という物がありました。


正確には、あるアイテムを使って歌を記憶させるのですが……
まあ、その辺は置いておいて。


音の世界では、文明が違う3つの大陸がありました。

何故文明が違うかと言うと、3つの大陸の間には、高く高く聳え立つ、巨大な真っ赤な分厚い壁が立ち塞がっているからです。その壁が仕切りになって、世界は綺麗に三等分にされていました。


ですので、大陸同士の交流など出来る訳もありませんでした。


原始時代のような大陸

遠い未来のような大陸

中世ヨーロッパのような大陸


3つの大陸は、それぞれ独自の文明を作り上げました。


けれども、8つの「メロディスポット」と呼ばれる、その場所だけは……誰も手を加えなかったと言います。




3つの大陸を巡り、歌を集めて……
聳え立つ真っ赤な壁の頂点にある魔王の城に乗り込み、魔王を倒す。

それがプレイヤー、ひいては勇者の目標。

魔王を倒すその日まで、頑張ってくださいね。





さて。

ここまで、このゲームソフト、音の説明をしてきた訳ですが……皆様に残念なお知らせがあります。


この音、一般に市販されていないのです。
生産されている数も、たったの2つ。

1つにつき遊べる人数は、4名。4名揃わなくては始まりません。

いえ……4名揃って、初めてソフトが手に入ると言っても良い気もしますね。


そして。ソフトは2つ、つまり、遊べる全人数は8名……。


音を遊ぶ事が出来る幸運な8名様は、一体誰なのでしょうか?




――それはきっと、神様にだって分からないでしょうね……。


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