あたしが眉を顰めても、気にせずに着いてくる宮下。
「あのさ、」
後ろに居る宮下へ振り返って、言う。
「つきまとうの、止めて欲しいんだけど。」
面白半分で近づいてくるんなら、尚更。
見てみると、宮下は空を仰いでいる。
「上原、あれ、一番星。」
…こいつ、絶対人のこと馬鹿にしてる。
頬が痙攣する。宮下の指の先には、キラリと光る金星。
「金星じゃん。」
「星には変わりない。」
まぁ確かに、と納得してしまう辺り、あたしは少し宮下に感化されているような気がしてならない。
「危な、」
腕を引っ張られて、角から出てきた車が横を通り抜ける。
あたしの腕を掴んだのは宮下以外に居ない。
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