取り入れた遅い情報が、頭の中を反芻する。


「あの机、蹴ったの上原じゃん。」

「…君、ね。」

「はぁいー?」

「一回、病院で眼を検査してもらった方が良いと思うの。
あ、頭の方かな。」


にっこりと笑みを浮かべて。

本当は、鞄を握った手に冷や汗が滲むのを感じて。


あたしは動揺していた。


見られたはずが無いと思っていたのに。


「じゃあね、宮下クン。」


逃げるように教室を出たのはあたし。




15歳の自分なんて、さほど大した事なんてしてない。

小さなことに世界の終わりを感じて、小さなことに世界の至福を感じた。



馬鹿みたいに小さな世界のことなのだと気付いたのは、彼に会ってからだった。





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