第3話


「ちょっと待って!」
私は慌てて2人の元へ向かう。
悠仁が呪い?祓う??冗談じゃない。

「おいッ近づくな」
伏黒が構えたままこちらに吠える。
多分一般人を巻き込むわけには…とか思ってる。
でも私は、生憎もう一般人なんかじゃない。
「悠仁を」

殺さないで

そう言おうとした瞬間、背後から呪いの気配。
というか近い。すぐ後ろにいる。
「ッ!!玉け」
伏黒も気がついたのか、術式を作動している。

パンッッッ

「は…?今、何が」
だけど私のが早かった。
「邪魔」
あぁ、呪霊の体液が顔について気持ち悪い。



「お前…呪術が使えるのか」
「悠仁を、殺させたりなんかしない」
今度はその手を伏黒に向けた。





「ちょい待って!俺なんともねーって」
先程まで蚊帳の外だった悠仁がふと気がついたように言う。
病院に行こう。と、心配そうに話す悠仁の顔と体から痣が消えていく。
「悠仁…、良かった」
瞳の色も戻ってる。
私が知ってる優しい悠仁だ。
今度こそ彼の元へ急ぎ、その体に抱きつく。
「名前?!」なんて驚いているけど、悠仁はぎこちなく腕を回してくれた。



「今どういう状況?」
いきなり聞こえた第三者の声に思わず振り向く。
背が高く、白髪で全身黒づくめの男が伏黒に話しかけていた。
「誰だ?」
「さぁ…」
男と伏黒の会話を聞くに、彼は五条と呼ばれる先生で、特級呪物の回収に来たようだった。
先生…ということは彼も呪術師。そして恐らく、この伏黒が通う呪術高専で教師をしながら呪術師をしている。
病院で伏黒が電話越しに、“呪術高専の伏黒だ“と言っていたのを聞いたから、多分間違いないだろう。

そういえば特級呪物が見当たらない。
何の特級呪物かは知らないが、あれだけ呪いが集まって重い空気を出していたのだ。相当厄介なものだと推測できる。
もしかして紛失した?だとしたらかなりやばいと思うけど…。
………いや、待って…。
さっきの悠仁の姿をした男………。
あれって、あれってもしかして…。

「ごめん、俺それ食べちゃった」



特級呪物。受肉。
悠仁の姿をしたあの男は、特級呪物が受肉した呪いだった。



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