[Dolls] -rose- | ナノ

【Dolls】-rose-

Another. 月の記憶 (1/11)

堕落の言葉を聞かせた、運命の悪戯……

それは、たった三日間の幻想
神の悪戯か、我の愚かさの表れなのか?

それですら、自らの苦痛を掻き消す甘い欲









【月の記憶】
〜Eternal Romance〜







冥き空より、紅い一筋の光が地に向かって下ろされた。
それは誰の目にも触れず、静かに……

やがて散るように消えた光の中から、ひとつの"カラダ"が落とされた。



「ここは……どこ?あたし……」


ゆっくりと瞳を開く。

力が入らぬ身体を起こせずに見回す景色は、ひっそりとした荒野。
もう一度、瞳を閉じる。



「あたし……の、名前……」


自身の名すら思い出そうとすれば、激しい頭痛に見舞われる。
ひとつひとつの記憶の欠片たちが中々繋がらない。
思い出そうとする度、胸が苦しくなる。

だが、決して忘れる事の出来ない"単語"……
静かな闇の中で、幾度も口にしていた。



「セフィ……」


この唇から忘れられない。

愛しい、愛しい……


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