[Dolls] -rose- | ナノ

【Dolls】-rose-

Ending (1/1)

【Dolls】-rose-

+Ending+







静かな海辺。
夕陽が、真赤に色付く。


嘗て、四人で並んだこの砂浜。

今では、もう三人しか存在しない……





「……ロゼ、幸せにしてるよね?」


目頭から溢れる涙を押さえ、アオイは口元を緩ませた。


「ああ……きっと、ライフストリームからオレたちのこと見てるよ」


ザックスも笑みを浮かべた。
だがセフィロスは黙って、遠い水面を見つめている。


安らかな眠りに就いたロゼの魂は、静かにライフストリームへと還った。





星を巡る、ライフストリーム。

ヒトは死を迎え入れ、やがてはライフストリームへと還る。
そして、再び転生する……



ロゼの魂は、いつまでもセフィロスを愛し続けるだろう。





「セフィロス、そろそろ……」


ザックスが、セフィロスを柔らかく促した。
セフィロスの腕に、抱えられた小さな箱。

それは、僅かなロゼの遺骨と指輪。


セフィロスが立ち上がると、ザックスとアオイも続いて立ち上がった。
三人は、ゆっくりと浅瀬に向かい歩き出す。





浅瀬で立ち止まるザックスとアオイ。
セフィロスだけが、先へと行く。


腰元まで海水に浸かると、箱を開け、両手に乗せるロゼの"形"。

ゆっくりと両手を下ろし、海水の中へ……



忽ち、辺り一面に広がるロゼの遺骨。
指輪は、しなやかに円を描いて落ちて行く。


ロゼの強く想い出に残るこの場所で、ロゼは"無"に戻った。


波に揺らめきながら、"ロゼ"は溶けてゆく……





セフィロスは夕陽に背を向け、浅瀬に戻った。
ザックスとアオイが、静かに笑みを浮かべながら迎える。



ロゼが愛した海を背に、静かに去る三人。

ふと、セフィロスは振り返る。
取り出した、一輪の薔薇。





同じ名の"ロゼ"を愛し、故にこの手で破壊した。

そして、"ロゼ"は二度と戻らない……





そっと、波打つ海へ薔薇を手放し流した。



今はもう、どこにいるかわからない

おまえに届くように……





「ロゼ……生まれ変わったら、また逢おう」








もう一度、廻り逢えたら……二度と離さぬよう。


そして、"永遠の愛"をおまえに……









【Dolls】-rose-


- The End -

2006-12-24


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