【Dolls】-rose-
+Ending+
静かな海辺。
夕陽が、真赤に色付く。
嘗て、四人で並んだこの砂浜。
今では、もう三人しか存在しない……
「……ロゼ、幸せにしてるよね?」
目頭から溢れる涙を押さえ、アオイは口元を緩ませた。
「ああ……きっと、ライフストリームからオレたちのこと見てるよ」
ザックスも笑みを浮かべた。
だがセフィロスは黙って、遠い水面を見つめている。
安らかな眠りに就いたロゼの魂は、静かにライフストリームへと還った。
星を巡る、ライフストリーム。
ヒトは死を迎え入れ、やがてはライフストリームへと還る。
そして、再び転生する……
ロゼの魂は、いつまでもセフィロスを愛し続けるだろう。
「セフィロス、そろそろ……」
ザックスが、セフィロスを柔らかく促した。
セフィロスの腕に、抱えられた小さな箱。
それは、僅かなロゼの遺骨と指輪。
セフィロスが立ち上がると、ザックスとアオイも続いて立ち上がった。
三人は、ゆっくりと浅瀬に向かい歩き出す。
浅瀬で立ち止まるザックスとアオイ。
セフィロスだけが、先へと行く。
腰元まで海水に浸かると、箱を開け、両手に乗せるロゼの"形"。
ゆっくりと両手を下ろし、海水の中へ……
忽ち、辺り一面に広がるロゼの遺骨。
指輪は、しなやかに円を描いて落ちて行く。
ロゼの強く想い出に残るこの場所で、ロゼは"無"に戻った。
波に揺らめきながら、"ロゼ"は溶けてゆく……
セフィロスは夕陽に背を向け、浅瀬に戻った。
ザックスとアオイが、静かに笑みを浮かべながら迎える。
ロゼが愛した海を背に、静かに去る三人。
ふと、セフィロスは振り返る。
取り出した、一輪の薔薇。
同じ名の"ロゼ"を愛し、故にこの手で破壊した。
そして、"ロゼ"は二度と戻らない……
そっと、波打つ海へ薔薇を手放し流した。
今はもう、どこにいるかわからない
おまえに届くように……
「ロゼ……生まれ変わったら、また逢おう」
もう一度、廻り逢えたら……二度と離さぬよう。
そして、"永遠の愛"をおまえに……
【Dolls】-rose-
- The End -
2006-12-24