[Dolls] -rose- | ナノ

【Dolls】-rose-

13. 鼓動 (1/5)

生きている証
宿られた魂

脈打つ心は、大きな音を残して崩れ落ちる

この手で守りたいもの
この心を満たしたいもの
この身体を慰めてくれるもの

全てに置いて、大切だと感ずるもの


愛されることを懸命に願った人形鼓動は、こんなにも美しかった









最終話【鼓動】
〜cherished Doll〜







あなたの傍に居られれば、それだけで良かった。
あなたがあたしではなく、他の誰かを想っていても……

傍に、居たかった。

慰めでもいいから、抱きしめて欲しかった。


でも……

あなたが幸せなら、それで構わない……








車のスピードが、みるみると加速していく。


一刻も早く、ロゼに会いたい。
会って、強く抱きしめたい。

恐らく、ロゼは許してくれるだろう。
彼女はそういう女だ。

自意識が強過ぎるだろうか……

だが数々の想い出を辿ると、ロゼも、そして自分も互いを必要としている。

ロゼは、いつも笑顔で迎え入れていた。
きっと、これからもずっと……
だから、直ぐにでも迎えに行かなくてはならない。


もう、二度と迷わずに……



焦る気持ちを胸に、セフィロスは先を急いだ。





*****





閑散とした海辺。

真冬の海は人など居る筈もなく、波の音だけが響いている。
ロゼが行きたがっていた海とは少し場所が離れているが、彼女はそこへ行きたいが為にここへ迷い込んだのか?



朝陽が光を射す浜辺を、早足でセフィロスは降りていった。
海岸の岩が並ぶ畔で、複数の人影が見える。
恐らく、ザックスたちだろう。

更に足を速めて、その場へ向かった。





  大きな樹木。

  揺らめくカラダ。

  しなやかに……美しく……






ローサは、何故死んだ?

俺を裏切って……





「……セフィロス」


自分たちの姿を、立ち尽くし茫然と眺める彼に気付いたザックス。
だがザックスの呼びかけに反応することもなく、セフィロスの視線は、浜辺に膝を付け、ロゼを抱きしめながら嗚咽を漏らすアオイに落とされていた。

アオイに抱かれるロゼは、何も感じないように無表情のまま、まるで静かに眠っているようだった。


「っ、セフィ……ロス……」


アオイはセフィロスの存在に気が付き、赤く腫れさせた顔を上げた。

伝わる、哀しい感情……



「……ロゼがっ……ロゼ、が……し、んじゃ……っ……」








――――ロゼが、死んだ…………


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