[Dolls] -rose- | ナノ

【Dolls】-rose-

08. 悪夢 (1/7)

七年前のクリスマスイヴの夜
死神が降臨した

何故、罪のないおまえを奪ったのか?
何故、俺は未だ生きているのか?

忘れることも出来ぬ、あの光景
美しい筈の、おまえの醜悪さ

痛む頭痛は決して治まることはない


この苦しみを人形に与えてやろう

悪夢に溺れさせて……









第8話【悪夢】
〜nightmare〜







とある春先の朝。

セフィロスが出勤の支度をしていると、ベッドの中で唸り声を挙げるロゼに気が付いた。
頭から毛布を被り、時折身体を捩らせている。

少し心配になり、毛布の上から手を添え声を掛けた。


「……ロゼ、具合でも悪いのか?」


"購入"してから風邪ひとつ引いたことのない彼女だからこそ、余計に心配になる。
だがセフィロスの言葉に対し、大きく首を振るだけだった。

軽く溜息を零すと、セフィロスは立ち上がりベッドルームを後にした。





リビングのテーブルの上に置いてある車のキーを手にした時だった。

悲鳴にも取れる、ロゼの叫び声。
セフィロスは直ぐ様、ベッドルームへと戻る。


「どうした?」

「セ、セフィ……これ……?」


裸体を起こし、両手に付く血液をセフィロスに翳す。
同じく、真白なシーツにも大量の血液が付着していた。

動揺の為か、身体を震わせる。
彼と結合する箇所から、未だに滴り落ちる血液に驚いているようだった。


「ねえ……あたし、死んじゃうの?こんなにいっぱい、血が!」


今にも泣き出しそうなロゼ。

自分の体中から、こんなにも血液を吐き出し死に至ってしまうのかと思う恐怖。
助けを求めるように、ロゼはセフィロスに手を伸ばした。

だが、セフィロスは軽く舌打ちをする。


「……所詮、"人形"も女か」


煩わしく言い放つと、ロゼに背中を向けた。


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