それは、たった三日間の幻想
神の悪戯か、我の愚かさの表れなのか?
それですら、自らの苦痛を掻き消す甘い欲
【月の記憶】
〜Eternal Romance〜
冥き空より、紅い一筋の光が地に向かって下ろされた。
それは誰の目にも触れず、静かに……
やがて散るように消えた光の中から、ひとつの"カラダ"が落とされた。
「ここは……どこ?あたし……」
ゆっくりと瞳を開く。
力が入らぬ身体を起こせずに見回す景色は、ひっそりとした荒野。
もう一度、瞳を閉じる。
「あたし……の、名前……」
自身の名すら思い出そうとすれば、激しい頭痛に見舞われる。
ひとつひとつの記憶の欠片たちが中々繋がらない。
思い出そうとする度、胸が苦しくなる。
だが、決して忘れる事の出来ない"単語"……
静かな闇の中で、幾度も口にしていた。
「セフィ……」
この唇から忘れられない。
愛しい、愛しい……