「……もう、七年も経つんだな」
神羅カンパニーの屋上。
柵に凭れるように、ザックスとセフィロスは並んでいた。
灰色の空を見上げながら、ザックスは呟く。
忘れられる筈も無い、忌まわしき過去。
それは決して消えることもない。
ザックスの隣で煙草を吹かしていたセフィロスは、空に向かい大きく煙を吐く。
今にも泣き出しそうな空。
まるで、自分自身の表れみたいに。
「俺は、一生許されない……」
己を嘲笑うかのように、目を閉じ喉で笑うセフィロス。
どんなに悔いても、二度と戻れない過去。
「セフィロス……」
「俺が……殺したんだ、この手で」
自身の左手を空に翳し、重く呟く。
神の一説によると、この空の先に存在すると言われるローサへ、許されぬ許しを乞うて。
「違う!セフィロス、おまえが殺したんじゃないだろ?!」
ザックスがセフィロスの左手を叩き、声を荒げた。
顔をめいっぱい歪ませ、強張らせるように続ける。
「解ってんだろ?ローサは……自分で死んだんだ」
「……だから、俺があいつを」
「もう、止めろよ!」
セフィロスの長年痛感する想いを、ザックスは真っ直ぐ受け止めていたつもりだった。
だからこそ、自責の念に駆られる彼をどうしても救ってやりたかった。
「……ローサも、もう許してくれるよ。約束通り、毎年クリスマスイヴに傍に居るセフィロスを」
慰めではないが、ザックスはセフィロスに優しく語り掛けた。
それが可笑しいのか解らないが、セフィロスは肩を震わせ微笑する。
「俺はあいつを愛し、そしてこの手で抱いた。全て解っていながら」
俯けた顔を、再び空に向ける。
そして、言葉を続けた。
「俺の……実の"妹"だと知りながら……」
灰色の空を見つめるセフィロス。
その表情は紛れもなく、ローサと共に映る写真の中の微笑みと同じく……
――――許されない愛
酷く、悲しき恋
残酷とも言える、浅ましき運命に怒りを覚える
To Be Continued
2006-11-26