与える、痛み……
"道具"としての、扱い。
それは"初めて"の時よりも、遥かに重い恐怖を植え付け、叫ぶほどの痛みを与える。
どこにも触れず、愛撫も無く、ただ突っ込むだけの行為。
性欲の掃き溜め。
ナカに放出すると、セフィロスは再び彼女に背を向けた。
一瞬、嫌な予感が過ぎる。
"大人の女"になった"人形"を、避妊なしでしてしまった行為。
きつく顔を歪ませ、大きく溜息を零す。
放心状態のように全身を震わせていたロゼが、やがて小さく啜り泣く。
どんなに辛くとも、決して涙しないロゼが声を押し殺し泣いている。
セフィロスは背を向けたまま軽く目を開くと、見えない彼女に視線を流す。
だが、直ぐに瞳を閉じた。
セフィロスが目を覚ますと、すっかり泣き止んだのかロゼが小さく寝息を立てていた。
しかし、目の周りが真赤に腫れあがっているのを見ると、恐らく酷く涙していたのが窺える。
そっと手を伸ばし、ロゼの頬に触れようとした。
だが、寸前のところで手を止めると直ぐに引っ込める。
「……早く、俺を忘れろ」
太陽の光が眩しく射す。
ロゼは眉を顰め瞳を開くと、ぼやける視界と頭痛が激しいことで眩暈を催す。
そして思い出される深夜の出来事……
出来れば夢であってほしかった。
下半身の痛みで、それは現実だと痛感させられる。
何故、どうして彼は自分を忌み嫌うのだろう。
純情に従い、"ロゼ"を演じてきた筈なのに……
不可解な心情と、芽生える恐怖に思わず両手で顔を覆う。
"彼"しか知らない身体で捨てられてしまったら、生きる意味を失くす。
大きなベッド。
距離を縮めて、いつも寄り添って眠っていた。
分け与えられる彼の体温が、酷く懐かしい。
なのに今、どうしてこんなにも遠いのだろう……