[Dolls] -rose- | ナノ

【Dolls】-rose-

05. 呪縛 (5/5)

*****



「バイバイ。ザックス、アオイちゃん」

「ロゼ、また会おうな」

「来年も、ロゼのお誕生日会やろうね」


陽もすっかり暮れ、玄関先でザックスとアオイを見送るセフィロスとロゼ。
本当に寂しそうに手を振るロゼに、ふたりは彼女の額にキスをしていった。





時計が、もうすぐ零時を示そうとしていた。
風呂からあがったセフィロスは、寝間着姿で未だリビングのツリー前の床で座り込むロゼを見つけ、思わず溜息を漏らす。


「ロゼ、風邪を引く。ベッドの中に入れ」


セフィロスを見たロゼは、黙って頷くと彼と共にベッドルームに入った。

いつもと変わらず、窓から覗く月明かりを眺め煙草を吹かすセフィロス。
その横に並ぶように、ロゼは毛布を捲り中へ潜り込んだ。


ふと、セフィロスは思い出す。

煙草を灰皿に押し付けベッドから立ち上がると、クローゼットを開く。
日中着ていたスーツの胸ポケットから一輪の薔薇を取り出すと、再びベッドに戻りロゼにそれを差し出した。

黙ってそれを受け取るロゼ。



「……誕生日、おめでとう」


感情のない言い方。
だが、ロゼはこれ以上に嬉しいことはない。


「セフィ……ありがとう」


零れそうな笑顔で、ロゼはセフィロスを見つめた。





――――セフィロス、ありがとう!




「っ、……ーサ……?」


擦れるような小さな声。
ロゼは、セフィロスが何と言ったか聞き取れなかった。

セフィロスの頬に、小さな手を伸ばす。
頬に触れられた手の上から自らの手を重ねると、彼女を向かい合わせに抱きかかえた。


「……おまえを、"女"にしてやる」


彼の言っている意味が解らず、ロゼは首を傾げながらセフィロスを微笑みながら見つめた。



それでいい。
何も知らぬまま、"人形"を壊してやる。

己の、エゴの為に……


――――俺は、また過ちを犯す。





ロゼの頬、額、耳……
セフィロスは唇を這い、首筋へと下ろした。

擽ったそうに笑うロゼ。


彼がいつも以上に自分に触れてくれる喜びを感じるが、まさか痛みと恐怖がこれから来ることも知らずに……





――――記憶を埋め、新たな記憶を植え付ける
縛られた時間が今、解放された

"何か"を破壊して……






To Be Continued

2006-10-29


[ Back ]

×
- ナノ -