「バイバイ。ザックス、アオイちゃん」
「ロゼ、また会おうな」
「来年も、ロゼのお誕生日会やろうね」
陽もすっかり暮れ、玄関先でザックスとアオイを見送るセフィロスとロゼ。
本当に寂しそうに手を振るロゼに、ふたりは彼女の額にキスをしていった。
時計が、もうすぐ零時を示そうとしていた。
風呂からあがったセフィロスは、寝間着姿で未だリビングのツリー前の床で座り込むロゼを見つけ、思わず溜息を漏らす。
「ロゼ、風邪を引く。ベッドの中に入れ」
セフィロスを見たロゼは、黙って頷くと彼と共にベッドルームに入った。
いつもと変わらず、窓から覗く月明かりを眺め煙草を吹かすセフィロス。
その横に並ぶように、ロゼは毛布を捲り中へ潜り込んだ。
ふと、セフィロスは思い出す。
煙草を灰皿に押し付けベッドから立ち上がると、クローゼットを開く。
日中着ていたスーツの胸ポケットから一輪の薔薇を取り出すと、再びベッドに戻りロゼにそれを差し出した。
黙ってそれを受け取るロゼ。
「……誕生日、おめでとう」
感情のない言い方。
だが、ロゼはこれ以上に嬉しいことはない。
「セフィ……ありがとう」
零れそうな笑顔で、ロゼはセフィロスを見つめた。
――――セフィロス、ありがとう!
「っ、……ーサ……?」
擦れるような小さな声。
ロゼは、セフィロスが何と言ったか聞き取れなかった。
セフィロスの頬に、小さな手を伸ばす。
頬に触れられた手の上から自らの手を重ねると、彼女を向かい合わせに抱きかかえた。
「……おまえを、"女"にしてやる」
彼の言っている意味が解らず、ロゼは首を傾げながらセフィロスを微笑みながら見つめた。
それでいい。
何も知らぬまま、"人形"を壊してやる。
己の、エゴの為に……
――――俺は、また過ちを犯す。
ロゼの頬、額、耳……
セフィロスは唇を這い、首筋へと下ろした。
擽ったそうに笑うロゼ。
彼がいつも以上に自分に触れてくれる喜びを感じるが、まさか痛みと恐怖がこれから来ることも知らずに……
――――記憶を埋め、新たな記憶を植え付ける
縛られた時間が今、解放された
"何か"を破壊して……
To Be Continued
2006-10-29