【Dolls】-rose-

＋Prologue＋

　＋人形＋

　木や紙、土などで人間の形を真似て作ったもの
　愛玩、鑑賞用としても使用される



　＋薔薇＋

　"愛"の意味を持つ
　"美"を兼ねて……








あたしは人形

あなたを慰める為だけに、ここに存在する


けれども、あたしはあなたに愛されたい
例え、"誰か"の代わりだとしても……

愛玩人形として、彼に服従する喜び
それだけが、今のあたしの生きる糧だから



あなたに、"ロゼ"と名付けらた時から

あたしの運命は変わった……





＊＊＊＊＊




赤く染め上げられた夕陽。
それを見事に映す、果て無き海。

沈む夕陽は、海に蝕まれていくのか。
それとも、海を食しているのか……


静かにせせらぐ波の音。

潮の風に靡きながら、"アレ"はいつも笑っていた。
時を戻すことも出来ず、寂寥と時が流れゆく……



手にした一本の薔薇。

同じ名の"アレ"を愛し、故にこの手で破壊した。
そして、"アレ"は二度と戻らない……

そっと、波打つ海へ薔薇を手放し流した。



今はもう、どこにいるかわからない

おまえに届くように……

【Dolls】-rose-

全13話