中学生=(恋の)青春。誰だよそんな方程式作ったのは。作った奴はソッコー出てこい。そして眼球差し出せやこら。
「暑いムサいウザい」
「丸井。わかりきった事を今更何だい?」
「言わなきゃやってらんね。何この地獄」
ムシムシと暑いにも関わらず、テニス部だけマラソン大会おっぴろげてる。そこに響いているのは可愛い女子の声では無く、むさっくるしい野郎の声援と副部長の怒号オンリー。
「ムサい……ムサすぎる」
「フフフ…。そのムサい中に俺も入ってるのかな?」
「…………」
幸村君…。幸村君はムサいっていう形容詞の真逆だよな。ふわふわした髪質にお花の匂い。男だけどそんなにゴツくない。でも筋肉が無い訳でもない。
「はいらないわうん」
「じゃ、俺で我慢して」
「は?」
いや。ニコニコとしながらそんなこと言われても。
「ね?」
「あ、はい」
笑顔が怖い。笑ってんのに恐怖を与えられるなんて、幸村君にしかできないよ。
「そうと決まったら、もう一周はしろうか」
「えぇぇえ!?」
それは無いよ。
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