危ない人には着いていっちゃいけません1


お、いたいたあの子だよね。


「待てー!」


おっと、また女達に追われてるのか。しつこい奴等だ、殺しちゃうぞ。って思ったけど、この子仲間殺されると怒るんだよね。ちょっと近くの部屋にいてもらうか。


「よいしょっと」


起きて逃げられるとめんどくさいから早めに戻ってこよっと。ま、鬼ごっこは嫌いじゃないけどネ。じゃ、ちょっくら殺ってくるか。



∵∴



「ん、あれ、あたしなんでここに?」


確かあいつにけちょんけちょんにされて‥‥春雨連れていくって言われたんだ。でもあいついないし、また殺しにいってんのかも‥‥!早く行かなきゃ!


「うぐっ、う、あ、傷が‥‥」


それに隼と虎ちゃんもいない!さっきのところに一旦取りに行かないと。素手じゃあいつに応戦できない。待ってろよ神威め!
あたしは勢いよく部屋を飛び出した。
が、後ろからの声で引き留められた。


「あり?もう起きちゃったの?ダメじゃないか、ちゃんといい子で待ってないと」
「神威!」
「へぇ、俺の名前知ってたんだ。でも俺は君の名前知らないんだけど、女達も姉貴としか呼ばないし」
「名乗ってやるまでもない。あんたはここで死ぬんだから」


とは言ったものの、隼と虎ちゃんのいないあたしじゃあいつに勝つのはおろか、自分の身を守ることもできない。


「お、おい、あんた俺を母ちゃんのところへつれてってくれるんじゃないのかよ」
「あぁそうだっけ。でも日輪よりこの子が優先なんだよね」


神威の後ろからびくびくと男の子が出てきた。それはあたしも知ってる顔だ。


「晴太!何でこんな所にいるの!?じじ様に殺されるよ!」
「姉ちゃん誰?俺のこと知ってるのかよ」
「あんた百華の中じゃ有名なんだ。でもじじ様はお前が日輪に接触することをよく思ってない。あんた晴太をどうする気?」


こいつはいつも気持ち悪い笑顔を張り付けてるから感情が読めない。でも晴太も言ってたし、日輪のところにつれていくつもりだろう。けど何で?こいつに利益あんの?


「俺は優しいからね、親子の再会を手伝ってあげるんだよ。それより俺を殺すんじゃないの?君が襲い掛かってくんの待ってるんだけど。それとも刀がないと戦えない?」
「そんなことない」
「ふーん、そんな強がってると後で後悔するよ?どうせまださっきの傷も治ってないんだろう。君がおとなしく俺についてくるなら痛い思いしないですむけど?」


あたしは吉原を、地球を離れるなんて出来ない。だから答えが変わることはない。


「誰がんなことするかっての。あたしはここを離れるつもりはない」
「まぁそう答えるってことはわかってたけど。ねぇ聞こえる?この足音?君の仲間のじゃない?」
「何が言いたいの?」


まだあたしにはその足音が聞こえない。けどその足音が本当に百華のものならこいつはわざわざ言う必要ないのに何で?


「君意外と鈍いの?つまり今から来る女達は人質ってわけだよ。君がおとなしくついてくるなら殺さないよ。どうせ今の君にあいつらを守ることは出来ないだろう?」
「っ!卑怯者」
「俺は欲しいものを手に入れるために手段を選ばないんだ。さぁどうする?もうさすがに聞こえてきただろう?」


やばい、そろそろ地球人のあたしにでも足音が聞こえてきた。本当にこいつは殺すだろう。その証拠に散々あたしの仲間を殺したんだ。


「‥‥これ以上あたしの仲間を殺さないで」
「君ならそう言うと思ったよ。じゃ、行こっか」


足音と逆方向に歩く神威に晴太と一緒についていく。でもあたしはまだ諦めてない。隼と虎ちゃんと再会できたらぶった斬る。これ以上仲間は傷付けさせない。























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