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クイズ番組の司会者は自分は答え知ってるからって偉そうなのがムカつく2
「血液検査?」 「そう。血液調べればどこの種族かすぐわかる」 「やらない」 「何で?」
何でだろう?でも何となくやりたくない。 ふいに見た神威は珍しく青い瞳を覗かせていた。
「怖いんじゃないのかい?自分がもし夜兎だと分かってしまったら」 「怖くないよ、あたしは夜兎なわけないもん」 「へぇ、凄い自信じゃないか。じゃあ賭けない?検査をして夜兎じゃなかったら君を地球に返してあげるよ。でも、もし夜兎だったら春雨に残る」
普通にここから逃げる方法はない。船を出たとしても地球に着陸してないと意味がないから。だから賭けるのは確実な方法だと思う。だけどこいつが賭けに負けて素直にあたしを地球に帰すか?それにもしあたしが夜兎だったら、
「どうしたの?やっぱ夜兎だと思った?」 「あんたが約束破りそうだから」 「疑うなんて酷いなァ。俺は約束を守るヨ。それに権兵衛が賭けをしたくないなら別にやる必要はないんだ。ただ脱出するチャンスを逃すだけだよ。どうする?」 「‥‥わかった。賭けてやろうじゃねぇか」 「じゃ、決まりね。医療室行こっか」
部屋から出て神威についていく。それにしても船の揺れを全く感じない。まぁ海とは違うしな。そいや地球を出たのは初めてだ。でもこんな状況だし、感動してる余裕はない。
「あ、阿伏兎」 「おぅ、団長。仕事もしないでどこ行くんですかィ?」 「ちょっと権兵衛の血液検査しにネ。夜兎じゃなかったら権兵衛を地球に帰すことになってるんだ」 「ほぉー。で、夜兎だったらもう逃げられないってわけか」 「そ。優しいでしょ?俺」
誰だろうこのおじさん。てか神威って団長だったんだ。こんなガキが上司なんて可哀想だ。そのせいか顔が凄くやつれてる。 てか、こんなところに連れてきた時点で優しいわけないだろ。
「それ、ハーフとかクォーターだった場合どうすんだ団長」 「そんなこともあるのか。うーんどうしよ?でもやっぱ夜兎の血が通ってるわけだし、俺が勝ったことになるでしょ?」 「それは可哀想だろ」 「そうだそうだ!」 「しょうがないな。そうなったときは春雨から逃がさないけど、たまに地球に行くのは許してあげるよ」
何か上から目線過ぎてムカつく。ムカつくけどどうにも出来ない自分もムカつく。ここにいたらあたし頭おかしくなるかもな。
「夜兎じゃないことを願ってるぜ嬢ちゃん」 「え、あ、ありがとうございます!」 「ムカつくなぁ阿伏兎。まぁ絶対権兵衛は夜兎の血流れてるよ」
あの人いい人だ!あぶとさん?だっけ?とにかくあの人はいい人だ!こいつとじゃなくてあの人と一緒にいたいもんだ。
あぶとさん?と別れて医務室に向かう。どうか夜兎じゃありませんように‥‥!もし夜兎の血流れてても、純血じゃありませんように‥‥!
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