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「なみ、昨日はごめんな」
うわっ、元希に初めて謝られた。
「いや、あたしこそ何か、ごめんね?」
「お、おぅ。あの、その、あれだ。俺もあの、隆也に‥‥」
さっきまでははっきり喋っていた元希が急に吃りだした。
こんな姿は滅多に見られないよな。
「隆也に‥‥?」
うわっ、駄目だ。
面と向かってなみに自分の想いを伝えんのは俺には出来ねぇ。
試合中はポーカーフェイスでやれんだけどな。
「あっ、あれだ、俺も隆也に‥‥電話しようとしてて、」
ちっげーよ!
何言ってんだ俺!
隆也になんか電話しねぇよ!
「あぁ、そうだったの。ごめんね」
「いや、こっちこそ悪かったな」
なみこんな嘘信じるなんて相当な馬鹿だ。
いっそ疑われるほうがよかったな。
「あれ?でも昨日電話したとき隆也何も言ってなかったけど‥‥」
「ま、まぁ俺昨日は結局電話しなかったからな」
「そうなんだ。元希が隆也に電話するなんて珍しいね」
「‥‥まぁな」
くそやろう隆也め!
まぁなみと仲直りできたからいーけどよ。
俺なみに想い伝えられるのか?
くそっ、弱気になんな俺っ!
「元希?急に黙ってどうしたの?」
「ぇっ、いやなんでもねぇ。もう遅いし俺そろそろ帰るな?」
まぁなみの親も俺の親もまだ帰って来ねぇだろうけど。
俺も変に意識しちまうしな。
「‥‥‥あたしといるのやだ?」
「はっ?いや、そんなことねぇよ」
「じゃあ、まだ帰らないで?1人で寂しいから」
「おぅ」
う、上目遣い‥‥可愛いな。
いや、そうだけど、ちげぇよ!
駄目だ。
好きだと意識した以上、普通にいられる自信ねぇよ。
俺大丈夫なのか?
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