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武蔵野がミーティングをしていた場所へ行くと元希が1人で待っていた。


「ごめん元希!待った、よね?」
「お前なぁどこ行ってたんだよ!こっちは心配したんだぞ」


うわ、元希に心配されるとか‥‥!
優しくなったなぁ。
しみじみと感じながらも、駅に向かって歩き出す。


「それにずっと気になってたんだけどよ、何でお前対戦相手校のTシャツ着てんだよ!」


これはほんとに悪いなと思って必死に説明したけど、元希の機嫌はあんまりよくない。


「久しぶりに元希の試合見たけど、80球以上投げるようになったんだね。肩は大丈夫なの?」
「まぁ、な(いつもは80球ぐらいしか投げてねぇけど、今日だけ特別とは言えねぇな)」
「‥‥隆也にも教えてあげたいな」
「っ!」



こいつ俺より隆也かよ‥‥!
何だよ、俺がグレた時にも支えてくれて、ずっと信じてたのに。
結局俺の味方なんて誰もいねぇのか。


「あたしさぁ、隆也に感謝してるんだ」
「は?」
「シニアに行ったときの元希はさ、たしかに荒れてたし、隆也は嫌な想いたくさんしただろうね。でも元希がもう野球やらないんじゃないかって思ってたから、元希をやる気にしてくれた隆也に感謝してるの。それに、隆也はいい捕手だと思うしね」


んだよ、わかりにくい言い方すんなっての。
でもまぁこいつを信じてた俺は間違ってねぇらしいな。


「でも俺相当隆也に嫌われてるからな」
「まぁあたしが隆也の立場だったら嫌いになると思う」
「俺そんな酷かったかー?」
「80球ぴったりで降板するし、ノーコンだし、俺様だし‥‥。隆也も苦労したよ」
「お前なぁ!」



よかった。
元希の機嫌はなおったみたい。
まぁ別に機嫌をなおすために言ったわけでもないんだけどね。



それからは他愛ない話をしながらマンションに着いた。


「あ!そいや秋丸は?いつもは一緒に帰ってるよね?」
「え、いや、今日は用事があるとかで急いで帰った(本当は俺が、邪魔だから帰れって言ったんだけどな)」
「そうなの?ならよかった」


置いてきてたりしたらどうしよかと思ったよ。
今頃気付いたとかひどいなぁ自分。


「今日は姉貴いんの?」
「あー、いねぇかもな」
「マッサージしよっか?」
「おー、頼むわ」


ということで、あたしはそのまま元希の部屋に直行した。






    
  












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