「お前また男と話してただろ」



元希と付き合い始めて4ヶ月。
元希から告白されて、あたしも元希のこと好きだったから晴れてカップルになったあたし達。
最初は手を繋ぐのにもお互い頬を真っ赤にするような、初初しいものだった。
それでもあたしを好きでいてくれてるのは充分に感じられたし、あたしも元希を好きだった。
でも段々元希は変わってきてしまった。
他の男子と話すと怒られて、学校から帰るときも休日も、いつも元希といた。
他の友達とはあまり一緒にいさせてくれない。
始めは愛情だと素直に受け入れられた。
けどあまりにも酷くなってきて、遂には怖いとまで感じるようになってしまった。
そしてまた今も、男子と話したという理由で空き教室に呼び出された。


「あたしから話し掛けたわけじゃないよ」
「それだって無視すりゃいいっつったろ?」
「‥‥無視なんて出来ない」
「お前が他の野郎と話してんのムカツクんだよ。お前は俺だけのもんだろ」


分かってる、これが愛情だってことは。
分かってるけど、もう我慢できないよ。


「‥‥元希のその気持ちは嬉しいけど、重すぎるよ」
「重い?何がだよ?俺だって他の女と話してねぇだろ?」
「そうだけどっ、でも、他の男子と一切話さないなんて無理。もうさ、別れない?元希のことを嫌いなわけじゃないけど、あたし、元希の愛に耐えられない」


そう伝えると元希の表情はみるみると冷めていった。
こんな瞳で見られたことなんて一度もなかった。
恐いよ。


「そっか。わかった」
「ごめん」


わかって、くれた?絶対に否定されると思ってたから、こんなにあっさりと了承されて少し驚いた。
やっと終わったんだ。


「何謝ってんだよ?別に俺別れるとか言ってねぇし。俺は別れるつもりなんかねぇよ。それでもっつうならあれだな。心がダメなら体だけでもってやつ?」


自分の身が危ないと考える前に反射的に体が動いた。
でも直ぐに引き留められた。
流石に現役野球部に反射神経では勝てなかった。
やだ。怖い。逃げたい。
あたしどうなるの?


「逃げんなって。本当にそんなことするわけねぇだろ?」


元希の表情が少し和らいだ気がして安心した。そうだよね、そんなことするわけないよね。心がダメなら体だけでもなんて狂ってる。


「お前が別れるなんてもう二度と言わねぇならな」


そっか、元希は狂ってたのか。あたしはもう逃げられないのかもしれない。






 




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