※17巻ネタ


今あたしは怪我して練習に参加出来ない阿部と2人で、ボール磨きをしながらベンチに座っている。

何か今日の阿部は覇気がない気がする。
かなりの間ボール磨きしてるけど、まだ一言も喋ってない。


「阿部さ、なんかあった?」
「!」


いきなりの問いかけに驚いたわけじゃなくて、図星だったから驚いたんだろう。
阿部のボールを磨く手が止まった。


「‥‥お前ってやっぱすげぇな」
「いや、多分誰でも気付くと思う」
「そんな分かりやすかったのかよ俺‥‥」


阿部は他人のことは敏感なくせして、自分のことには鈍感だったりする。


「‥‥さっきさ、ロードしてきて三橋に言われたんだ。もし俺が今も榛名の球とってたらARCに通用するって」
「うん」
「‥‥お前もそう思うか?俺が武蔵野いっときゃ良かったって。俺は、あいつのカベなんて‥‥!」



あたしは阿部と幼なじみってやつで、小さい頃から阿部を見てきた。
榛名先輩と組んで、喜ぶ隆也も苦しむ隆也も全部。


「今から話すこと怒らないで聞いてね?」
「おぅ」
「あたしはね、榛名先輩の考え方を否定しないよ。球数制限も手ぬくのも、サインに首振るのも」
「っ!」


阿部とこんな話しをするのは初めてかもしれないな。
阿部は怒るかもしんないけど、この際だ。
あたしの思ってること全部言ってしまおう。


「でもね、阿部が言いたいことも分かる。あたしはどっちの味方にもつくつもりはないよ」
「‥‥‥」
「あたしもね、時々思う。阿部が今も榛名先輩とバッテリー組んでたらどうだったんだろうって。もしそうだったら、阿部はきっと榛名先輩の能力を生かせてたと思う。でもね、それじゃ駄目なの。それじゃ榛名先輩は変わらない」


珍しく黙って話しを聞く阿部。
今何を感じて、何を思ってるんだろう?


「今榛名先輩は先輩とバッテリー組んでるでしょ?だから多分気を遣ってる。実際、榛名先輩の投球も少しはコントロールされてるし。それに今日は球数制限してなかったよね。阿部も気付いたと思うけど、榛名先輩は少しずつ変わってきてるよ」
「‥‥あぁ」
「きっと阿部と組んでたらこうはなってない。だからあたしは阿部が武蔵野に行かなくて良かったと思うんだ」


阿部がいなかったら西浦に正捕手いなかったわけだし。

美丞戦だって田島が頑張ってくれたからまだいいけど、三橋が全然駄目だったし。

「それにあたし思うんだけど、三橋はね阿部が西浦にきて後悔してるんじゃないかって思ってる、きっと。三橋はそういう子だから。阿部に後悔してほしくないんだよ」
「あいつはそんなこと、」


やっぱりまだ阿部は三橋を信じきれてない。
バッテリーには信頼が必要不可欠。
今でも結構うまくいってると思うけど、ふたを開ければただの主従関係だ。
三橋が阿部に従ってるだけ。


「ARCとか武蔵野第一に勝って甲子園行きたいなら、三橋を理解してあげないと。阿部なら出来るよ」
「‥‥やってやるよ。榛名には絶対負けたくねぇし。だからジェニファーも協力してくんね?」


やっぱ榛名先輩への闘争心はんぱないな。
まぁこっちはそれを巧く使わせてもらってるんだけどね。



「もちろん。甲子園連れってもらわないとだし」
「ほんとジェニファーは頼りになるよなぁ。俺お前いないと無理だわ」
「ほんとー?嬉しいな。まぁあたしも隆也はなしってのはキツいけど」


そのぐらい大切な隆也だからあたしは信じていられるんだよ。



友達以上恋人以上

(あの2人ってさ、付き合ってない、よね?)
(付き合ってねぇだろ)
(つかカレカノよりレベル高いよな)
(俺ジェニファーんこと好きなのにー!)


最後の台詞は上から栄口泉花井田島が遠巻きに話してたり
こういう関係もいいかもしれないかもしれないかもしry

ちょいちょい捏造すみません






 




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