“準サン、この頃練習こないんっすよ”

いつもの、元気で尻尾があったら振ってるような利央じゃなくて、しゅんと悲しそうで、尻尾もうなだれてる利央が言った。

そんなわけないっ、て思ってた。
あの野球馬鹿が、練習サボるわけない、って。


でも久しぶりに練習を覗いたら、引退した先輩と一緒に、エースまでいなかった。
あぁ、本当だったんだ。
ごめん利央、疑って。

「探してくる!」

そう言って、無我夢中に走って、中庭についた。

前も、ここにいたから。

「準太!」

ベンチに座って、俯いてた準太がこっちを見た。
目が赤く腫れてて、見てらんなくて隣に座った。

「練習、始まってるよ」
「‥‥‥知ってる。でももう俺にはマウンド上がる資格ないから」
「じゃあ、野球やめるの?」
「‥‥‥‥」

また俯いて、黙る準太。
こんな準太初めて見た。

「やめるならさ、さっさとやめよう」
「!」
「みんなだって、準太のとこうめないとだしさ。怪我したわけでもなく、試合に負けたのが理由で、才能を無駄にしちゃえばいいじゃん」
「っ!俺はっ‥‥才能がないから、負けたんだ。俺のせいで、和サン達が、」

ぎゅっと拳握って、唇噛んで、必死に耐えてるんだろうけど涙は零れて。
準太はわかってなさすぎ。

「笑わせないでよ準太。あんた1人が駄目なくらいで、負ける桐青だと思ってんの?調子のんなよ、自分が勝敗を決めると思わないで。1人くらい悪かったってね、みんなそれをカバーできるぐらい上手いの!それを自分だけのせいにするとか、和サン達なめないでよ」
「‥‥‥でも、俺が打たれたから」
「じゃあサインだした和サンは?それをとれなかった先輩達は?」
「‥‥‥‥」
「ま、それでも野球やめたいなら早くやめよ。準太のしょっぼい才能でも欲しい人はいると思うけどねー。ほら、早く監督にやめますって言おう」

ベンチから立ち上がって、準太をグラウンドに連れていこうとするけど準太は座ったまま動かない。
さすがに、女1人で男を引っ張るのは無理があった。

「‥‥‥俺、好きなんだ」

準太がぽつぽつと話し始めたから、また隣に座って黙って耳を澄ます。

「野球も、一緒に野球した先輩も。‥‥‥だから、いつまでも一緒に野球してたかった。なのに、俺は‥‥‥、始めも調子悪くて、後の方も、打たれて。俺が調子よかったら‥‥!先輩達は野球やめんのに、俺だけ続けるの、辛くて。みんな内心、俺のせいだって思ってんじゃないかなって‥‥、みんなと会うのが、怖くて」

「思ってないよ、みんなそんなこと。利央だって、和サンだって心配してた。それに迅だって、タケだって普通に練習してるよ?この2人がもっと得点とってたら、勝ったかもしれないのに。野球好きなら、続けなよ。そんでさ、準太達の代で甲子園行こう。和サン達喜ぶよ」

グラウンドの方から、野球部の掛け声が聞こえてくる。
いつもと同じ、元気なみんなの声。

「うん、俺、絶対来年甲子園行く。それで、全国制覇もしてやる。‥‥‥野球やめるなんて無理なの分かってたけど、俺、誰かに慰めてほしかったのかもしんない。ありがとな、ジェニファー」

そう言っていつもみたいに笑った準太。
やっぱ笑顔が似合う。

「彼女なんだから当たり前でしょ。ほら、早く行かないと!監督怒ってるよ」
「げ、まじで。じゃあ行くわ。今日も送れないけど、気を付けて帰れよ!絶対甲子園連れてってやるからな!」

最後に頭をぽんぽんっと撫でて、走って行った準太。

結局、準太は野球が好きで好きで好きで。
あたしなんか到底かなわないのだ。
それでも、そんな準太があたしは好きだ。
準太が立ち止まったら、いくらでも一緒に立ち止まって背中を押すよ。

だから、どうか笑っててね。


例えばこんな愛し方



ながーい。←
しかも台詞多いっ!
銀〇かっ!←←
準サンだって弱気になるのです
口調分からなかったけど‥‥

お題>>ステラ様より





 




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