壱万打御礼企画 | ナノ
「不動+愉快なイナズマジャパンのほのぼのギャグ」


イナズマジャパンの宿舎の食堂。
選手たちが楽しみにしている食事の時間はいつも賑やかなのだが、ここ最近は珍しい光景がよく見られるようになった。

チームになかなか馴染まず、食事も練習も常に一人で行動していた孤高のプレイヤー不動明王。

いつもは空席の対面の席には、ごんべが座っていた。



「明王ちゃんったらまたトマト残して。大きくなれないわよー」
「うっせぇババア!」
「はいはい、一人じゃ食べられないならあーんしてあげようか?」
「ガキ扱いすんじゃねぇよ、同じ年だろうが」
「ならこの年になって好き嫌い言ってないで、ほら食べて」



噛みつくような不動を軽くいなして会話を続けるごんべ。

例え暴言を吐かれようが、ごんべからしてみれば反抗期の子供のようなもの。



「午後の練習は何するの?」
「あ?・・・とりあえず、走り込みだよ」



その証拠に鬱陶しいと言いつつも、不動はいつだって必ず反応を返してくれる。


「コーンとかいる?」
「そうだな・・・って、てめぇまた来る気かよ」
「ストレッチにしろタイム計測するにしろ、人手があると効率がいいでしょ?ってことでまた後でね。これもう下げとくね」



嫌そうな顔をする不動を綺麗に無視して、ごんべは自分の食器と一緒に不動の食器も重ねてカウンターに持っていく。

またね、と声を掛けてごんべが食堂を出た瞬間。


ガタガタッ。



不動のいるテーブルの周囲に座っていた彼らが勢いよく立ち上がった。


来たよ面倒な奴らが、と不動が口元をひきつらせている間に彼らは不動を囲み上から剣呑な視線を送る。



「いい気になるなよ不動」
「ごんべはお人好しなだけなんだからな」
「午後はオレが相手をしよう」
「ベンチでぼっちだからってずるいよね」



ゴーグルを光らせて仁王立ちする鬼道。
誤解するなと睨みつける風丸。
相手にしたら殺されるんじゃないかと思うほどの気迫を纏った豪炎寺。
にこにこしながら言ってることは一番酷い吹雪。



「・・・別にオレがどうこうしてんじゃねぇだろ。あいつが一方的に・・・」
「え、何それ不動くんてば自慢?」
「どうしたら自慢になんだよ」
「仕方ないさ吹雪。ごんべは世話焼きだからな。いつも一人の不動を見ていられなかったんだろう」
「名無しは優しいからな。試合に出れない不動に同情しているんだろう」



別に不動からごんべにちょっかいを出しているのではなく、向こうから近づいてくるのだから自分に非はない。
そう言っても彼らには通じない。

相変わらず笑顔のままの吹雪に、それに続いて畳みかける風丸と豪炎寺。


いつも一人だとか、試合に出れないだとか、実は気にしていることをずけずけと言ってくる。



「おまえらの方が、そうとう酷いんじゃね・・・・・・?」




そんなにメンタルは弱くないと自負している不動でも、こう直球で来られるとさすがに胸の辺りが痛まないでいられない。



どうしてオレがこんなに言われなけりゃいけないのか。


やはり日頃の行いが・・・いやいや、自分は悪くない、悪くないんだと思わず虚ろな目をしてしまう不動。



「とにかく、不動、おまえが一人である限りごんべは不動に構うだろう。仕方がないからな、これからしばらくはオレたちが相手をしてやろう。任せたぞ豪炎寺」



もはや世を儚み始めた不動を前に、鬼道が非情な判決を下した。




「ああ、任せてくれ」
「僕も手伝うよ、クロスファイアなんてどう?」
「炎の風見鶏もあるぞ」





「・・・・・・おまえら、オレを殺す気だろ」



殺さないにしろ再起不能にするつもりなのは間違いない。


万が一そんなことになれば一層ごんべが不動のケアのためにべったりになると考えられるが、それを指摘できる勇者は残念ながらいなかった。





___
リク内容を見て不憫な明王さんしか思いつきませんでした。豪炎寺先生のファイアトルネード療法は果たして実行されるのか。リクありがとうございました!
Back