壱万打御礼企画 | ナノ
「FFI編」後編




「一郎太、犬猫じゃないんだから・・・」
「似たようなものだろう。名無しはハーメルンの笛吹か」


呆れを隠さない鬼道くんに返す言葉もない。
・・・と、言いたいところだが。今回は譲れないものがある。


「おいおい、こっちは招待を受けた側だってのに随分な歓迎だな。それに毎度毎度女に大荷物持たせてよ」
「それは悪かったな。今度からはオレが付いていくことにしよう。変な男に絡まれても困るからな」
「ほう?そりゃ誰のことだ?」
「ふっ。言われなければ解らないのか」


気分が悪いと言わんばかりにテレスが顔を歪ませれば、豪炎寺くんが応戦する。


「ワシツも見てみたかったんだけどあるかい!?」
「土門くんたちに頼んだらどうかな」
「・・・ゴンベの御礼がしたいという気持ちを無碍にするのか」
「じゃあ僕から御礼を言うよ。僕らの大切なごんべちゃんを助けてくれてありがとう。だから帰ってほしいな」


宿舎の外観に興奮しているディランを尻目に火花を散らすマークと士郎くん。


「先日のパーティーでの失礼を謝罪に来ただけさ。是非彼女にこの紅茶を振る舞いたくてね」
「ならその茶葉だけ置いて帰ればいいだろう」
「チチチッ。解っていませんね。紅茶は淹れ方が大事なのだよ」
「ごんべも紅茶を淹れるのは上手い方だから、エドガーがする必要はないぜ。帰れ」
「おや、ならば是非ゴンベさんの淹れた紅茶を頂いてみたいものだ」
「帰れ」


帰れコールを繰り返す一郎太に、それを意にも介さない余裕のエドガー。


「オレはマモルやキドウたちにこの間の御礼を言いに来たんだけど」
「そうか。礼には及ばない、あれはオレたちにとっても意味のあるものだったからな。さて、これで用件は済んだな」
「そのつもりだったんだけど、ゴンベが手料理を振る舞ってくれるなんて聞いたら食べないわけにはいかないだろ?」
「・・・いいだろう。ここで話していても埒が開かないようだ。サッカーで決めるとしよう」



フィディオと話していた鬼道くんの提案により、揉めていた彼らはグラウンドに向かった。
それに面白そうだと付いていく数人と春奈ちゃん。


「さて、秋、冬花ちゃん手伝って」
「え、でもごんべちゃん、放置してていいの」
「むしろ丁度よかった。この隙に作りましょう。明王ちゃん!手伝って!」
「はぁ?選手に作らせる気かよ」
「和食得意でしょ。・・・わたし、アボカドの握りやクリームチーズの巻きずしに花火の刺さった焼きうどんを日本料理とは認めない」
「・・・何作んだ。懐石か?」
「今からじゃ難しいし、多分舌に合わないだろうから家庭料理で。秋、何か使っちゃいけない素材ある?」
「とりあえずタコやイカは止めた方がいいわ。小皿で出すより大皿の方が見栄えするし喜ぶと思う」
「ちらし寿司はどう?桶でどーんと置いて、取り分けるの」
「あとは揚げ出し豆腐なんかどうだ。ヘルシー食材だとか言われてるらしいしな」
「あと・・・肉じゃがはどうかな。それならわたし、作れるよ」
「日本料理は色彩が地味だから、明王ちゃん。飾り包丁出来たよね、よろしく」
「アルゼンチンといえば肉料理だよね。竜田揚げとかどう?」
「ごんべさん!オレも手伝いますよ!野菜の仕込み位なら出来ますから」
「ありがとう虎丸くん。目金くん、足りない食材リストアップするから、そこら辺の体力自慢連れて買い出しに行ってきてくれるかな。ダッシュで」


人数が人数な為作業を分担する。慌ただしく動き始めた厨房に、他の選手たちは少しずつ後ろに下がっていった。


「あれ、ごんべ帰ってきてたんだな!何してるんだ?不動まで」
「ただいま守。今フィディオにテレス、マークにディランにエドガーが来てグラウンドでサッカーやってるから、思う存分楽しんでいらっしゃい。こっちが呼ぶまでサッカーしてていいからね」
「本当か!?よっし行ってくるー!」


これでこちらの準備が終わるまで大丈夫だろう。
さて。
日本料理がどんなものか、たっぷり堪能していただこう。

日本人の誇りにかけて・・・!


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な、長い・・・!人数出したらこれです・・・。これでも削ったのですが日本食ネタが思い付いて、どうしても書きたかったんです。この話だけ異様に長くなり申し訳ありません。もっと短く上手く纏められるようになりたいです。
氷歌さん企画参加ありがとうございました。大変お待たせしてしまい申し訳ありません。書き直し受け付けます!



2011.10.13
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