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「ボンジュール」
ベッドにうつ伏せになっているリーフに言葉を投げかけると面白い程に思いきり飛び起きて僕を見た。僕はテーブルに頬杖をつきながら空いている手で昔リーフがやっていたように形作り、少し動かす。ぱくぱくと顔を真っ赤にして口を忙しなく開けたり閉じたりしているリーフはとても面白い。
「ひ、人の古傷を抉るな!」
「…古傷だったの?」
にやり。口を歪ませて言うとリーフは更に顔を真っ赤にして僕を睨みつける。そういえばグリーンさんも言った、ってレッドが言ってたっけ。流石兄弟。それともリーフが真似したのかな?どちらにせよリーフの反応が面白いのには変わりない。僕は未だに顔を赤くして俯いているリーフに思い出話をしようよ、と持ちかけた。
「お前、絶対面白がってんだろ」
「ただ単に昔を振り返りたいだけだよ。失礼だなあ」
今すぐに吹き出したいのを堪えて穏やかに笑う。リーフは一つ、溜め息を吐いて僕の前に座った。
「で?思い出話ってどこからだよ」
「そうだね。僕たちが初めてポケモンを貰って旅を始めたとこから話そうか」
「性格悪いな」
リーフは足を組みながら僕に言い捨てる。自分の立場が悪いのに見栄を張るところは昔と全く変わっていない。それが僕には嬉しくて、だけど面白くて笑うとリーフが眉を顰めた。ごめん、と言葉だけの謝罪をすると僕たちの会話に割り込むようにして違う声が聞こえる。
「…あまり、リーフを苛めない方がいいよ」
振り返ると久し振りに見た僕の兄、レッド。肩には同じく久し振りに見た兄の相棒。気のせいか少し痩せた気がする。その後ろにはリーフの兄、グリーンさんがいた。相変わらず苦労しているオーラというかお母さんみたいなオーラが漂っている。
「あれ?レッドじゃん。お帰りー。シロガネ山での修業は終わったの?」
「グリーンが、降りて来いって」
「おまえがあんな寒いところに半袖でいるのが悪いんだろ!」
グリーンさんが額に手を付けて溜め息。リーフは苦笑いをしてお帰り、と声をかけている。この兄弟、全くといって良い程顔が似ている。双子でもないのに、だ。まあ少しグリーンさんの方が格好良いのかもしれない。ただいま、と言いながらリーフにべったりとくっ付いたグリーンさんを見ているとレッドが再びリーフを苛めない方がいい、と言った。
「分かってるって。グリーンさんにバトルでぼっこぼこにされるんだろ?僕もそれはごめんだからね」
「…分かってるなら、良い」
そんな僕たちの会話にも気付かずにグリーンさんとリーフは兄弟仲良くいちゃつきやがってる。あまりの仲の良さに僕も嫉妬せざるを得ない。そろそろ本気でグリーンさんからリーフを引き剥がそうと考えていた時、動いたのはレッドだった。
「グリーンはリーフの事がそんなに好きなんだね」
「ごめんなさいすいません。俺はレッドだけが好きですリーフは何て言うか弟だし、いや好きだけどそういう好きじゃなくてだな、」
べらべらと良くもまあそんなに言葉が出てくるものだ。グリーンさんの必死さを見ていると先程の威勢はどこだと言いたくなる。レッドは無表情の中にも少しだけ怒りと嫉妬を混じらせていて、それを分かったのであろうグリーンさんはレッドに抱き付いた。僕よりグリーンさんの方がレッドの扱いが上手い。その証拠にレッドはグリーンさんに抱き付かれたりキスされたりすると面白いくらい機嫌が良くなる。あーあ。いちゃつくなら他所でやって欲しいよねえ。そう考えているとリーフが手を伸ばして僕の腕を掴んだ。
「どうしたの?」
「お、俺も好きなのはお前だけだから!」
顔を真っ赤にしたリーフが紡いだ言葉はグリーンさんがレッドに言った事と同じような意味を含んでいる。今度は耳まで真っ赤になっているリーフを見て笑いながら僕も言う。
「僕もリーフだけを愛してるよ」



(FRLGと初代)


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