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「あれ、ファイアじゃん何やってんの?」
唐突に後ろから声を掛けられた。ただでさえ買い物帰りで重い袋を両手にぶら下げているというのに面倒な事この上ない。少し怒りを滲ませながら後ろを向くと見覚えのある人がいた。
「…グリーンか。見れば分かるだろー。買い物帰りだよ」
重たい袋の一つを持ち上げるとグリーンの頬が引きつった。それから袋を指差して口をぱくぱくと開いたり閉じたりしている。どうしたの、と聞くとグリーンは僕からその買い物袋を一つぶんどった。一気に軽くなった事に身体が驚いたけれど僕はそれを気取られないように空いた手を後ろに隠す。
「やっぱり重いじゃん。お前、よくこんな重い物二つも持ってたなー。俺も今からマサラに帰るとこだったんだよ。せっかくだから手伝ってやる」
にっこりと笑ったグリーンにから僕は目を逸らした空を仰いだ。真っ青だ。雲一つない、ってわけじゃないけど快晴だと言い切れるほどの青さ。照りつける太陽が忌々しい。

僕は別にグリーンが好きなわけじゃないのだと思う。尊敬はしているだけで、好きではない。だってグリーンはレッドのものだから。僕らは兄弟だからお互いのものはお互いのもの、ってしっかり分かっているつもりだ。だから好きじゃない。頭を撫でられても死ぬほど嬉しくて恥ずかしくなるだけだから好きじゃない。グリーンがレッド、と言う度に何かが痛くて締め付けられるけど嫉妬ではない。グリーンは僕の、尊敬する人だ。
「ていうかお前、結構背伸びたよなー。レッドの方が小さいんだっけか」
「うん。レッドより大きくなっちゃった。そのうちグリーンも抜かすよ」
「生意気な!無理無理、俺より大きくなるなんて無理だって」
どうか分からないよ、と言えばグリーンは焦ったような表情を浮かべる。ああ、可愛いな、なんて。泣いたらもっと可愛んだろうな。顔を赤くして泣きじゃくるグリーンを苛めたいっておもう僕はどこか変なんだろうか。レッドは狡い。愛されて、尽くされて、羨ましいなレッドは。僕も誰かに愛されたらって思うよ。

「ね、グリーン。家に寄ってってよ。レッドも喜ぶ」
「良いのか?俺もレッドに会えるのは嬉しいけど…お前の迷惑にならない?」
「今更何言ってるの。迷惑だなんて思ってないし、レッドが喜べば僕はそれで良いから。それとケーキもあるんだ。美味しいって有名の」
「まじで?あ、うん。それじゃあ寄らせてもらうよ。悪いな」
レッドのため、何てそんなのは口実に過ぎないんだ。僕がグリーンと一緒にいる時間が長くなるために僕はレッドを使う。レッドになんて思われたって構わない。僕はグリーンの事が、

(好きじゃない、なんてそんなのは嘘。本当は好きで好きでたまらない)


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