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レッドの爪が緑色に塗られていた。森や草原などを思わせる緑なら心地も良いし見た目的にも良かったのだろうが残念な事に爪に塗りたくられていた緑は濁った、森や草原とは似ても似つかないような濁った緑だった。抹茶とも違うその色は緑なのにも関わらず毒々しい。俺は吐き気を覚えて眉を顰めた。レッドはそんな俺を気にも留めず、にこにこ笑って俺に指を、というか爪を見せながら言い放つ。

「綺麗に塗れたんだよ」

綺麗も何もあったもんじゃねえ。色が悪いせいで綺麗に塗れたとかは問題じゃない。確かに爪からはみ出ず、皮膚に付着などしていないが今まで健康的だった綺麗な色をしているレッドの爪が毒々しい緑に覆われているとは考えたくはないな。俺は未だに眉を顰めていたようで、レッドに眉間に皺寄ってるよ、と指を差されるまでは気付かなかった。緑が、俺を向く。レッドから目を逸らして何故塗ったのかを聞くと、人形のように気持ちを持っていないかのような表情で言った。

「緑はグリーンの色だから。どんな時でも手って目に入るからずっと覚えていられる。死ぬ時までグリーンを覚えていられるし、忘れても思い出せるから」

それだけ、と言ったレッドはこれ以上この話題を口にする事は許さなかった。ただ、俺が持ってきた少し凍りはじめているパンなどが入ったリュックを受け取る時に俺もこいつも、爪に目がいったのは確かだった。

それから何日か経った時だった。ゴールドからレッドが消えたと聞かされたのは。レッドに勝った後に吹雪いてゴールドが目を瞑り、開けた時にはもうピカチュウもレッドもいなかったのだと。俺もゴールドも分かっていた。あそこの崖から転落したんだろう。それをお互い口に出さないのはある種の防衛反応なのかもしれない。レッドは死ぬ直前、いや、消える直前自分の爪に塗りたくられた毒々しい緑を見て俺を思い出しただろうか。そもそも手に意識なんてしただろうか。そればかりが気になって少し泣いているゴールドとは違い、俺は涙なんて一粒も出なかった。

きっと意味のない行動


◎痛い緑赤、で痛いはどんな痛いでも良いと言われたので色んな意味で痛いにしてみました!想像と違ったら申し訳ないです違う痛いバージョンもいつか…!





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