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「なあ、レッド」
「何、グリーン」
「そんなに俺にくっついて暑くねえ?」

少し暑いけど大丈夫、と俺の背中に自らの背を預けているレッドが声を漏らした。俺としては暑い事この上ないのだが、そこはまあレッドだからという事で許しておこう。拭いていたボールがカタカタ揺れる。それをゆっくり手で撫でると揺れが止まり、代わりにレッドの頭が俺の後頭部に直撃した。レッドの頭の硬さに驚きつつ、痛む後頭部を押さえてレッドに振り返るとくすくす笑っている姿が目にはいった。

「ちょ、おま、すげー痛いんですけど」
「…ごめん。あそこまで勢いづくとは予想外だった」

レッドは手を俺の頭に載せてよしよし、と言いながら撫でる。いまいち状況とレッドの真意が掴めなくておまえ何したいの、と聞くとレッドが構ってよ、と言った。

「構ってるじゃん」
「そうじゃなくて、その、ボール拭くのは後でいいだろ。おれ、久し振りに降りて来たんだから」

言い終わった後、恥ずかしそうに顔を背けたレッドを見て俺は一人納得した。あー、そうか。ボール拭いてばかりだからつまらなかったんだな。言われてみればレッドがシロガネ山から下りてきたのは珍しい。最初から構ってやれば良かったな、なんて思いながら先程レッドが俺にしたように頭を撫でると驚いた顔をしたレッドと目が合った。

「よし、そうだな。久し振りに一緒にゲームやろうぜ」
「ボール、拭かないと皆拗ねるんじゃないの」
「おまえに拗ねられたほうが心臓に悪いって。な?そうしよう。今日はおまえの食べたいものも作ってやるよ」

本当?と嬉しそうに笑ったレッドに嘘です、なんて言えるわけもない。というか言う気もない。それじゃあ一緒に買い物行きたいな、と言ったレッドに準備してこいよ、と家に戻るよう促すとすぐ戻ってくる、と笑顔で言った後、大人しいレッドにしては珍しく部屋のドアを乱暴に開けて階段を下りて行った。その様子に俺は笑って手に持っていたボールにごめんな、と言う。イーブイの入っているそのボールは気にするなとでもいわんばかりに揺れた。レッドの準備出来たよ、という声が外から聞こえて俺はまだ準備してないと答えを返し、レッドに急かされるまで後何秒だろう。

不幸などぼくたちには存在しない


◎らぶらぶでほのぼのな緑赤は楽しいですが難しいです、ね…!素敵なリクエスト有り難うございました^^





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