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そろそろ殴っていいだろうか。手を握り締めて目の前でべらべら話し続ける金色に目を向けた。普段のおれだったらピカチュウにボルテッカーを食らわせてもらったり、自分で殴ったりはするが生憎今はそれが出来ない状態だ。グリーンに、言われた。腹立つのは分かるけど怪我なんてさせたらおまえが一番損するだろって。こうやってグリーンがおれを思っているのにそれでもグリーンが好きだと愚かな事を言うなんて本当に馬鹿だと思う。金色は脅威、ではないけど少々邪魔だ。目障りと表現した方が正しい。

「今日は殴ってこないんですね、せんぱい」
「…帰れ」
「俺の話、聞かないんですか?」

初めから聞いてないけど。言えば金色は肩を竦めて酷いですよー、と気持ち悪い一言。ああ、本当に気持ち悪い。君の首を斬れば少しは気が晴れるだろうか。ポケットに忍び込ませていたバタフライナイフに触れた。グリーンがもしもの時に、とプレゼントしてくれたシンプルな、それでいて美しいそれ。こいつを殺せばグリーンはおれの事を怒るかもしれない。だって約束したんだから。

「金色。君の事はまだ生かしておいてあげる」
「へえ、それはどうも。ていうか、俺がアンタの事を先に殺しちゃいますけど」
「どうかな」
「それ、どういう意味ですか」

別に、とだけ言って金色から目を外した。こいつがいなくなったらグリーンを呼ぼう。それで美しいこれで腕を刺して、金色に刺されたって言おう。何て面白い喜劇。愛故の悲劇。おれを愛してやまないグリーンは激昂するんだろうね。おれがグリーンの邪魔者を殺せないのなら、グリーン自身にきっかけを作ってあげる。グリーンこそが英雄であり、おれこそがワルキューレ。ヴァルキリー。そしてグリーンにはおれだけ。おれにはグリーンだけ。金色や他の色はいらない。エインヘリャルはただ我に従え。さあ、金色。楽しいバトルを始めようか。

エインヘリャルと騙ってあげよう






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