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いつも世話になってるから、とレッドから差し出された白い箱を大事に受け取って静かに開けてみると隙間なくぎっちりと詰め込んであるケーキたちが目に入った。ムースショコラノワゼット、プレミアムアップルパイ、モンブラン、プラリネピスターシュ、他諸々。流石最強なだけあって金はあるらしく、高そうなものばかりだった。その中で若干浮いているような、存在感を放っているピカチュウ型のケーキとイーブイ型のケーキを見て苦笑い。ああ、やっぱりこいつって俺のこと分かってる。

「甘い物、好きだから」
「ありがとな。高かっただろ?」
「お金はには困ってない。…喜んでくれた?」

当たり前だろ、とレッドの頭をぐしゃぐしゃに撫でる。そこで俺は思ったわけだが、何で今更世話になってるから、とケーキをくれたんだろうか。元々レッドは優しいやつだからそういう心遣いをするってのは一応俺も分かってるつもりだ。

「嬉しいけどさ、何でいきなりケーキ?」
「…バレンタイン、忘れてたから。だからチョコのも買ってきた」
「気にしなくても良いのに」

でも本当にありがとう。一緒に食べようぜ、とレッドの手を引いてソファーに座らせるとグリーンに買って来たものだよ、と声。皆で食べた方が美味いんだよ、と返せばイーブイとピカチュウが寄ってきた。本当、食べ物には目がないやつらだ。レッドの皿にはピカチュウ型の。俺の皿にはイーブイ型のケーキを載せるとレッドは買ってきて正解だった、と笑う。そのままフォークを躊躇いもなくケーキ、例えるならばピカチュウの頬に刺したもんだから隣に座ったピカチュウがピカー!と頬に手を当てて鳴いた。さて、俺はどこから食べようか。イーブイに問うと可愛らしくも残酷に自分の顔をしたケーキの耳を食べて俺はピカチュウと同じような反応をするしかない。どうやらイーブイはレッドの性格に酷似しているようだ。俺もフォークを刺すとレッドの美味しいね、と声が聞こえる。まだ俺食べてねーよ。そう言ってケーキを見ればイーブイに結構な量を食べられていた。バレンタインなんて関係なしにさ、またこうやってケーキ食べようぜ。言えば眉を顰めて甘い物苦手、と拒絶の言葉をレッドは吐いた。

平日の幸せ事情





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