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ぎし、と悲鳴をあげたベッドの上で溜め息を吐くと、グリーンの笑顔が見えた。その女に好かれそうな顔、引っ叩いてやりたいよ。死ね、と暴言を吐く。それも気にせずにグリーンは更におれに詰め寄ってきた。寄るな、気持ち悪いよ。

「なあ、一回だけでいいからさあ」
「断る。グリーンが一回って言って一回で終わった事ないし、おれ、明日にはシロガネ山に戻るから」
「上半身裸でベッドの上っていったらやる事、一つしかねーじゃん」

発情期、だと思う。いや、万年発情期だろうか。頬に添えられた手を軽く叩き落す。グリーンは苦笑いして安くねえ女みたい、と言った。最低。安いもなにも軽々しく身体を差し出してなるものか。興奮とかしねーの?とムードも何もない質問をしてくるやつにだけは絶対。興奮なんて生きてきてした事ないよ。強いていえばチャンピオンになった時ぐらいだ。顔が近い、と手でグリーンの顔を覆って上に押しやる。ちぇー、とつまらなさそうな呟きが聞こえた。

「おまえ、本当ガードかたいよな」
「かたい、かたくないの問題じゃないだろ」
「ま、別にいいけど?明日シロガネ山行くんだったら仕方ねーよな」

おれの上から退いたグリーンはベッドに横たわる。背中をおれに向けて欠伸をしたグリーンを思いきり足で蹴った。当たり前のようにベッドから落ちそうになったグリーンの反応が面白くて笑うとグリーンも笑いだす。あー、本当おれもグリーンも馬鹿みたい。

「いてーよ、何すんだよ」
「蹴ったんだよ。蹴りたくなったからね」

りふじーん、と頭を軽く叩かれる。そしてまた笑ったグリーンのポケギアに着信。真夜中に非常識だ、と舌打ちしながらも電話に出たグリーンの傍に寄っておれもポケギアに耳を近付けると聞こえたのは金色の声。グリーンの顔が引きつった。ポケギアを奪って電源をオフ。気分が悪い。そのままグリーンに抱き付くと耳元で声。明日、一緒にシロガネ山に行ってやるよ。優しく囁いたグリーンの腕の中は暖かかった。別にね、おれはグリーンとそういう事をしたくないわけじゃないんだよ。おれは、そういう事をしなくても愛を感じられたらそれでいいんだ。ね、グリーン。君もいつか分かってくれるよね。ううん、もう、分かってるのかな。グリーンのおやすみ、という言葉を最後に眠りに落ちる。

これも愛





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