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白くて、柔らかくて、だけど冷たいそれにレッドは埋もれていた。降ってくる白いそれがレッドに落ちて、融ける。俺はといえば、真っ赤に染め上げた手をレッドの頬に添えて体温を確認する事しか出来なかった。それはせめてもの慰め。俺の、俺自身の慰め。赤い液体が頬に付着。ああ、綺麗な肌が汚れちまったな、なんて。レッドを抱き起こすと、どろどろと赤いものが流れ落ちて白いそれに染みわたった。赤が赤に染め上げられてどうするんだよ、と苦笑い。

「レッド、痛くなかったか」

目を閉じたレッドは当たり前のように何も言わない。そういえば相棒であるピカチュウはどこに行ったのだろう。幾ら嫉妬深い金でもあいつだけは殺さないだろうに。いや、もしかして殺した、か?脳裏に蘇るは赤に染め上げられた無惨な、俺の相棒。あいつなら、ポケモンだって殺してしまう。そんな金も今は大嫌いだと言っていた赤塗れだ。正当防衛だ。仕方ない。あいつは、俺を、殺そうとしたんだから。一緒になりましょう、と笑いながら言ったあいつの目は本気だった。だから俺はあいつの持っていた銀色で、銀色で、

「俺、どうしたらいいんだよ。教えてくれよ、レッド」

レッドを抱き締めればいつもは背中に腕が回っていたものだ。弱々しくも、力強い腕。俺を離そうとしないかのような、腕。俺はそれが大好きだった。今は、一方的だ。

「おまえの嫌いな金も、赤に染めてやったぜ。おまえが、喜ぶと思って。なあ、嬉しい?」

生きていたら、レッドは何と言っただろうか。嬉しいよ?それとも馬鹿じゃないの?俺を人殺しだと罵ったかもしれない。でもな、レッド。それって全部俺とおまえの為なんだ。あいつ、しつこいんだ。俺の相棒も殺して、おまえだって殺した。俺の行動の方が、遅かった。ごめん、レッド。守れなかったよ。俺も、おまえと同じところにいきたい。抱き締めながら横たわるとじわじわ服が濡れる。冷たさなんて、少しも感じなかった。ああ、レッド。おやすみ。

さよならさよなら



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