今日、私たちはお休みである。
ムーロとしての仕事休みはよく寮当番と被るので、丸々一日何もすることがない休みというのは中級ムーロに昇格してからというもの、久しぶりだった。確か、前の全休は3ヶ月前かな。

こんな日さえも私たちはペアで行動する。朝は遅めに起きて、ゆっくり着替えて、街に出た。
私たちムーロが良く買い物に来るのは、コガネシティ。コガネ百貨店には、生活必需品はもちろん、インテリアなどの家具、おしゃれな洋服、電化製品、日曜大工用具、更にムーロのお役立ちグッズまである。ホウエン地方やイッシュ地方からもこのコガネ百貨店に足を運ぶ人は大勢いる。

「スクーター欲しい…」
「俺らはまだ中級だぞ?やめとけやめとけ」
「ノーテなら出来る!!きっと!!」
「俺かよ!?」

私たちが一番に足を運ぶのは当然ムーロ用具店。私は初級ムーロの頃からスクーターが欲しかったのだが、これを乗りこなすのは難しく、上級ムーロ向けの道具となっていた。
その日、用具店で進級祝いにサングラスをおそろいのものに新調し、本屋で私は漫画、ノーテはラノベ、一着だけ普段着を、三着の修行着を買って、アイスを食べたり、途中見つけた雑貨屋さんでおそろいのリストバンドを買ってみたり、クレープを食べたりタピオカジュースを飲んだりしながら街を夕方までぶらついて、寮に帰った。

そして

今日買ったばかりの修行着を身に着けて、私たちは寮付属の演習場に来ていた。

「胃が重いんだけどぉ…」
「そりゃお前あんだけ甘いもんばっか食ったらそうなるわ」
「ノーテと半分こしたじゃん…」
「俺はチアロとは鍛え方が違うからな」
「…腹の?」
「うっせえ!やるぞオラ!!!」

夕飯までは修行だ。夕飯が終わってお風呂までも修行だ。
ノーテと技をぶつけ合って、技術を磨く。ノーテは男の子だから、最近身体能力的に差が出始めたのには薄々気づいている。跳躍時間がだんだん短く、否、ノーテの時間が明らかに長くなっているから。ペアで頂点を狙う私たちにとって、そんな差で私が足を引っ張るわけにはいかない。その部分は技の正確さ、そして揺るぎない精神力を培わなければならない。そういう相互関係の上で頂点をとるんだ。

尊敬している先輩に追いつくために少しでも早く、強くなりたい。

ご飯をかきこんでちょうど20分後、食後の運動をかねた修行を終えて、風呂で身体を休める。
寝る前には、日課のマッサージでお互いの身体をほぐしあう。
さあ、明日も頑張る準備が出来た。



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