※夢主攻めですが2頁目以降逆転
※TENGAの話



漫画を詰め込んだ棚のさらに奥か、机の引き出し奥にしまい込むか、俺はめちゃくちゃに悩んでいた。
収納場所に悩んでいるものがある。何かというと、峰田の置き土産だ。──といえばA組のみんなはなんとなく察してくれるだろう、当然R18相当のなにかだと。
寮のなかで俺の部屋といえば、割とみんな気兼ねなく漫画を読みにきたりたむろしてたりと人の出入りが多い。その証拠に漫画用の棚はところどころ歯抜けだ。
男どもに見られる分にはべつに構わないし、女子は元々そんなにこないし──まあ見られたらイヤだけど、元から峰田と同類に見られてるフシがあるからノーダメージだと思ってる。問題なのはひとりだけ。俺の大天使。こうしてる今だって、ふらっと部屋にきてしまうかもしれない。


「……あれ、待てよ?」

おめでたい紅白の横縞模様──がよく知られているデザインだろうけど、俺が貰ったのは黒と金で彩られた、くびれた筒型の例のブツ。峰田からの置き土産の正体はそれだ。
俺の部屋なら、これ普通に部屋のどっかにでも置いとけばよくね?そういうインテリアっぽくなったりしねえ? 思いついて即、さしあたってラックの隅に置いてみた。なんかオシャレかもしんない。そういうオブジェみてえ。写真撮りたいくらい。映えてる。俺天才じゃん。

「完璧すぎかよ……」

自画自賛しながら、レオパード柄のベッドに寝転がる。俺にはなまえがいる、となるとなかなか使おうって気にはならないのが本音だけど、捨ててしまうのは惜しい。
こうして置いてあったら、あの子は気づくのかなっていう興味もある。隠したい気持ち半分、見つけた時の反応への好奇心がもう半分。ってかこういうの、見たことあったりどういうモノか知ってたりすんのかな。

ていうか、今なにしてっかな。


 *

土曜日を前にしてなんだか素直に寝てしまうのももったいなくて、共有スペースで『彼』に借りた漫画を読む。
いつもならここには誰かしらが談笑しているけれど、時間帯のせいか静まり返っているし誰の気配もない。自分の部屋にいるか、彼──電気の部屋に行ってもよかった。後者は、もう寝てたらという申し訳なさで起きているかどうかを確認するのも憚られてしまって、結局こうしてひとりでいる。──が、そろそろ寝たほうがいいだろうか。



「こんなとこにいたのかよ」

広々とした空間に聞き覚えのある声が響き、反射的に身体が跳ねる。
寝てるかなって思って会いに行くか悩んだ相手が振り返った先でこちらを見ていた。部屋着と思しき黒の∨ネックシャツは、胸板の厚みを強調するようでどきどきする。

「電気」
「なにしてんの?」
「寝ちゃうのもったいなくて……」
「なにそれ? 俺の部屋くればよかったのに」
「寝てるかと思ったもん」

すぐ向かいじゃんよ、と屈託なく笑い目を細める電気に心臓を掴まれるようで身を縮こまらせる。すぐ向かいったって、一応2階に降りないと男子側行けないんだけどね。

「ま、この時間だもんなぁ」

言いながら、ソファーに座るわたしの前に電気がきて、手のひらが差し出される。

「今からでも来る? それとももう眠ィか?」

眠い、と答えたら、きっとこのままわたしの部屋まで送り届けてくれると思う。実際、ベッドに入れば寝ることはできる。それでもまだ寝るのがもったいないという気持ちは燻り続けていたし、電気からの誘いは魅力的だった。

「ううん、行く」

そう答えるとわたしは電気の手をとった。



ベッドに寄り掛かるようにして座る。そうすれば電気が「いや隣こいよ」って笑ってくれるから、それが嬉しくてついいつもそうしてしまうのである。
ただ今回はそれより先に見慣れないものが視界に入った。いや、見たことは正直言うとあるけど、実物を見るのは初めてだ。なだらかな曲線を描く筒型のそれ。なんのために使うものかくらいは解っているだけに、ここになにかのインテリアのように置いてあることがとても不思議だった。

「電気、あれ」
「ん? あー……なまえ知ってる感じ? 峰田に貰ったんだけど」

苦笑いで電気が立ち上がり、手にとる。こういうもの、男の子からしたら隠しておきたいんじゃないだろうかと思うんだけど、わたしはすごく興味があった。
使い捨てだよねこれって。この見たことあるボーダー模様の、アダルトグッズにしてはスタイリッシュなパッケージのままってことは、新品未使用品というわけだ。


「ふーん、使ったことあんの」
「いや、ねーけど」

それが嘘でも本当でもどっちでもいいのだけど、困ったことに目の前のアダルトグッズへの好奇心が首をもたげて収まらないのを感じていた。

「じゃあ使ってみていい?」

そうわたしが問いかけたときの電気の表情と言ったら。おっきな金色の目を更に見開いて、「おまえ、マジか……」と呟く電気はなんだか少し嬉しそうだった。


 *

本来男がひとりで使うもんであって、なまえが使うっつーことは、俺に使うってことでいいんだよな? "個性"かなんかでなまえにも同じモン生えてたりしないよな?
俺の心配なんかはそっちのけで、そいつを開封しようとする慣れない手つきにゴクリと生唾を飲み下す。

「なまえ、そのー、使ってみるっていうのは……」
「これで、してあげるってこと」
「マジ? いいの?」
「うん」

開け方は見ればわかるようになっているようで、てっぺんのシールと下方の包装を剥がして、キャップを外すとまずなまえは自らの指を突っ込んで、「おお……」と謎に感嘆してみせた。
彼女の手で、とか口でとか、されたことない訳じゃねーけど、使ってみたかったコイツをなまえが自ら使ってくれるっていうなら断る理由がない。ひとりで使うのもなんとなく罪悪感があったのが本音だから、これでそんなもんも解決である。
それなら、と履いてたズボンをパンツごと下ろす。こんなことをして貰えるなんつー状況ってだけでそいつは元気よく飛び出して、我ながらひいた。

「ここに入れれば良いの?」
「多分……」
「それじゃ、するよ」

そいつの入り口がぬち、と音をたてて先端を飲み込む。手とも口とも、なまえのナカとも違う感触にちいさく息を吐いた。

「……あ、やべ」
「ここ?」
「先だけじゃ、っ、なくて……そ、いい」

先だけを上下に擦るなまえの手をオナホごと握りしめて下の方まで誘導していくと、そのまま与えられる刺激が比例していく。

「気持ちいい?」
「……、はは、さいっこう」
「もっと早いほうが……良い、かな」

俺がさっきまで誘導してた手が今度はひとりでに、速さを変えて大きく上下に動いていく。根本から先までをぎゅうぎゅう締め付けて苦しいくらいに、終わりまでが近づいてくる。なまえは要領を掴んできたのか天辺の空気穴を中指で器用に塞いだりするから、中の圧迫感が強まる。

「あ、っあ、は、なまえ、まって」
「ふふ、電気かわいい〜」
「っ、おい……うう、きもち、あっ」

手でも口でもない人工的な感触に無理やりそこまで追いやられるのは不満だけど、結局堪えらんない俺の体。
その上、オーバーサイズ気味なショートパンツを履いたなまえの太腿だって眩しくて余計に全部が俺のことを煽るためにあるようで、勝手に身体が熱くなる。

「いきそ?」

なまえは勝手がわかってきたのか緩急をつけながら、裏筋のあたりを重点的に攻めていく。

「俺ばっか……恥ずいとこ見られんの、ずりーよ……、っ」
「へえ? じゃあ"個性"使っちゃえばいいじゃん」
「っ、できるわけ……、ねーだろ」

めちゃくちゃ楽しそうじゃん、とからかってやりたくても言葉にならなくて、なまえの手を握っていたはずの俺のそれはもはや添えてるだけ。もうすぐだな、と先のほうへ濁った意識が集中するのを感じたときにはすでに腰を震わせてその中へ溜まったものを放出していた。

「んん……、! う、ぁは」

俺が添えてただけになってしまった手を再度握りしめたのを合図に、なまえの手も止まった。
なまえが反対側の手を頬に添えてきて、瞳に俺の情けない顔が映るくらいに距離が近づく。反射的に目をとじると唇が合わさる。なに、この子。イケメンすぎない……?

「かわいい、電気」
「立場逆だろ……」

彼女にかわいいって言われんの、男としてどうなの──とは思ったものの、にまにまと満足そうに顔を綻ばせるなまえを前にしてなにかを言ってやる気も失せた。彼女をぎゅっと抱き寄せてひたすら頭を撫で、羞恥心が膨らんで戻らないのをひたすらに誤魔化した。

「あのぉ、電気さん?」
「ん? なんだいハニー」
「その……まだ、できたりします?」

ハリウッド俳優さながら、肩を竦めて答えると帰ってきた、遠慮がちな問いかけ。
できる、とは。少しばかり考えてみても、この場合意味はひとつかなと思ったけどどうだろう。

「できる、ってなーに? 電気わかんない」
「う……あのね」

なまえが握ったままになっていた俺の手を誘導した先は、ショートパンツの裾の更に奥。俺の指先が下着に触れる。布地というにはぐっしょりと濡れた感触に、一気に期待感を上昇させられる。

「おいおい、マジかよ」
「……っ、鼻の下伸びすぎ」
「そりゃ伸びるっしょ、こーんなかわいくオネダリされてさ」
「やっ、あ……」

お陰様でいろんな意味ですっかり復活してしまった俺には、そんなお願いだってお安いご用である。下着越しに指の腹で撫で回しながら、いじめ尽くしてくれたお返しにどうしてくれようかと考えるのだった。



続きます

20210929


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