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以下お礼小説です。




坂田家の食卓。
これはあくまで一例に過ぎない。銀さんの恋人が来ている日の場合だ。
晩御飯は彼女が作ってくれる。僕もできるだけ手伝おうとするのだけど、大抵「いいから新八くんは座ってゆっくりしてて」と言われてしまう。実際、僕の手など要らないくらい手際がいいので、食後の洗い物だけはやることにしている。

「いただきます」

今日の晩御飯は、鯖の味噌煮と白米、味噌汁。それから、漬物。神楽ちゃん好みの和食だ。神楽ちゃんは今日あった出来事を延々話しながら相当な量を掻っ込んでいる。銀さんは褒めるでもなく、黙々と咀嚼している。

「そんであのドS野郎、私の酢昆布持って帰りやがったアル! ……むぐ、おかわり!」
「そうなの? うちにいっぱいあるから今度持ってきてあげるね。おかわりは大盛り?」
「勿論ネ!」

神楽ちゃんと仲良く話をしつつ、何杯目かのご飯を盛ってあげる彼女の横で、銀さんの視線が動いた。ひたすら下を向いていたそれは今、白米と彼女を見比べるように左右していた。

「ん」
「ふりかけならここだよ」

彼女は銀さんにふりかけの小袋を渡す。なんで解るんですかアンタ。今、銀さん「ん」としか言ってませんよね。言う、というより言葉ですらなかったですよ。
そんな僕の戸惑いなんざ露ほども知らずにふたりは、会話にも満たないそれを続ける。

「ん」
「ああ、イチゴ牛乳ね。はいはい」

戸惑う僕を尻目に彼女は冷蔵庫からイチゴ牛乳のパックを取り出してコップに注ぐ。それは銀さんの右手に近い位置に置かれる。

「ん」

また、銀さんはそれしか言わない。なのに彼女は、ありがとうとでも言われたかのように満足気に笑う。

「だからアンタなんで解んだよ」
「それが解らないから新八はいつまで経っても童貞なんだヨ」

思わず箸が止まり、なかば落胆気味につぶやく僕に神楽ちゃんが容赦なくトドメを刺す。神楽ちゃんに一体何が解るというのだろう。僕には一生解りそうにない。
しかしながらこの二人の空気感を少し羨ましく思ってしまい、もし彼女が出来たらと思案してたら神楽ちゃんに鼻の下伸びてて気持ち悪い言われた。ああ、今最高に死にてェ。






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