||| plus alpha つぶやいた言葉は雨に掻き消されてなにも聞こえなかった。 梅雨の風に初夏の匂いが重なる。すぐ近くにあの、踊るような季節が待っていたと言うのに。 関係も言葉も態度も、全て凍りついたまま動かずにいた。 俺のわがままだった。なし崩しの形でそういう行為に陥ったわけだが彼は自制心を持っていたし、最後までためらっていた。 だから、彼が自分を責める理由などどこにもないのに。 いつも見上げている顔は傘に隠れたまま、口元は見えるのに目が見えない。表情が読めない。 それがひどくこわかった。 「」 動いた唇。だけど喉は痛いほどに渇いていて声がでない。 息を吸って、喉を癒す。彼よりも少し高い声で、掠れた声で名前を呼んだ。 「クロ」 ごめんなさい。 我慢してたのは俺のためだった。黙っていたのはこれからのためだった。全部分かる、今なら。 なんて子供だったんだろう。 遠くで車のブレーキ音がする。 何度も何度も二人で歩いた交差点を、もう二度と昔のように歩けなくなってしまった。気づいたとたん後悔が襲う。 「研磨、気をつけて帰れよ」 応えたのは涙だった。 震えた指で触れた背中。いつも俺を守ってくれた背中。 その感触をまだ指は覚えていた。 近づきすぎたんだと、気づいたときにはもう遅い。 幼なじみの言葉に頼れなくなってしまった。 完全に妄想の産物ですねこれは 今度クロsideでもっと描写を細かく書いたのをあげたい Jun 27, 2013 00:18 browser-back please. |