「ニャ〜」
鳴き声が聞こえる…
「ニャ〜ン」
猫のようだ…
「ウニャ〜」
しつこい…
「ンニャ〜ゴォォォ!!」
「うるせェェェェェ!!」と叫びたくても声が出なかった。だから仕方なく、銀時は重い目蓋を開けた。
「ンニャニャ〜」
視界に入ってきたのは白い毛玉…ふわふわの白猫は片脚を手鞠の上に乗せている。一緒に遊んで!と言わんばかりに。
「…………」
これは確か、宗次郎と一緒にいた猫だったような…
「ニャ〜ン」
そんなことより今は眠くてたまらなかった。頼むから静かに寝かせてくれと、目蓋を閉じる。
せっかく今まで気持ちいい夢を見てたのに邪魔をするなと、寝返りを打ったとき……何かやわらかいものが手に触れた。
「…………」
「ウニャ〜ン?」
「夢じゃなかったァァァァァ!!」と心の中で絶叫する。隣にはかたらが眠っていた…無残にも乱れた姿で。愕然として五感が冴えると、外のざわつきが耳に入ってきた。誰かを呼ぶ声がする…
「?………!!」
銀時はハッとして飛び起き、体の痛みに顔を歪めた。外の声は自分を捜す声だった。皆が待っている…新八や神楽、真選組の奴らだってかたらを待っているのだ。これ以上かたらを独り占めすることはできない。
「…かたら……」
銀時は少し躊躇ってから…そっとかたらの唇に自分のそれを重ねた。
「…必ず記憶を戻してやるから……それまで待っててくれな」
絡ませた小指と小指に誓って、約束を果たそう。
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