黒い記憶


夢を見る。

薄暗い世界、黒い影。
誰一人として顔がわからない。

やさしく頭を撫でてくれるのは誰?

そっと手を握ってくれるのは誰?

強く抱きしめてくれるのは…

…誰なのかわからない。
けれど、そこに確かなぬくもりを感じ、安らぎがあった。

黒い影に愛されていた。

黒い影を愛していた。

この上なく幸せを感じるのに…

…目が覚めると泣いていた。
途方もない悲愴感に涙があふれていた。



そんな黒い夢を見る。
愛おしく、幸せで、悲しい夢を……





わたしには昔の記憶がなかった。


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