十月十日、銀時の誕生日。
どうしても銀時に伝えたい言葉があった。それはもちろん今日この日に言わないと効果がない。かたらはもう迷わずに、躊躇することなく万事屋に電話をかけた。

「銀時さん……誕生日、おめでとう」
『!』
「ただ、それを伝えたくて…電話したんです」
『…あのさ、何で俺の誕生日知ってんの?』
「さあ……何ででしょう?」
『あー…真選組で調べりゃ分かるか…それとも誰かに聞いた?』
「ふふ、私は何でも知っているんです…あなたのことなら何でも…」
『オイオイかたら、それどーいう意味?』
「愛してるってことです。これから先もずっと、あなたと一緒にいたいから……銀時さん、いつか私と結婚してくれませんか?」

そんな台詞が口から勝手に出てしまい内心焦った。銀時は驚いたのか少し黙って、それから訊いてきた。

『なァ、それってさ……プロポーズ?』
「そう…ですね」
『イヤそうですね、じゃねーよオイ……何でお前から先に…っああクソ、何でだよ…っ!!』
「あの…だめ、でしたか…?」
『ダメに決まってんだろォ!?あのな、かたら!こーいうのはなァ男の口から言わせてナンボなの!普通プロポーズは男がするモンなの!それをっ…オメーから言ったら俺の立場が…なくなんだろ!!』
「あ…あの、ごめn」
『つーか!…俺が先に言うつもりだったんだ……十月七日、お前の誕生日に…その日に言うつもりだった』
「!」
『指輪も買った……その日に渡すつもりだった』
「!……っ…」
『でもお前に会えなかった』

あの日会わずに逃げたことが…銀時の気持ちを、その決意を踏み躙っていたのだ。

「っ…銀時さん…」
『いいかかたら、さっきのは聞かなかったことにすっからな。そもそも電話で言うことじゃねーよ?プロポーズっつーのは会って見つめ合って言うモンだろ?だからアレだ、お前のは無効だから!』
「…わかりました」
『それと、俺が言ったことも忘れろ……今度会ったとき遣り直すから』
「はいっ…楽しみにしていますね…!」
『…ったく、何でこんな恥ずかしい思いしなきゃなんねーんだよ…!』
「私も恥ずかしいです」
『イヤ誰のせいだと思ってんの!?』



次に会えたなら、その背中に向かって「銀兄」と呼んでみたい。きっとすごく驚いて、それからゆっくり振り返って、全てを受け止めてくれるだろう。
そう、私には約束された幸せな未来が待っている。


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